財産整理や相続登記はすべて行政書士にまかせられる?

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相続に関する財産整理や相続登記は、すべて行政書士に一任することができるのでしょうか?実は法律の専門家それぞれに、独占業務というものがあります。依頼内容によっては行政書士以外の専門家に依頼しなければならないこともあります。ここでは行政書士に依頼できない事柄についてどのようにすればいいのかを解説していきます。

行政書士に依頼できる内容とは?

相続に関して行政書士に依頼できる内容には、以下の3つがあります。

1.相続関係説明図の作成

2.財産目録の作成

3.遺産分割協議書の作成

これらの書類は、トラブルなくスムーズに相続するために必要になります。1の相続関係説明図は所有権移転登記をする際に必要であり、2の財産目録は遺言執行者が作成し、相続人へ交付しなければならないことが民法第100条にて定められています。3の遺産分割協議書は、相続税申告の際に必要となる書類です。この遺産分割協議書は、遺言書どおりに遺産分割することができた場合は作成する必要はありません。遺産分割協議をしなかった場合に作成する書類だからです。

もちろん、これらの書類をすべて自分たちで作成することも不可能ではありません。しかし相続は人生の中で何度も経験するイベントではないため、書類作成が難航することは目に見えています。万が一書類に不備があった場合は、相続税を間違えて多く納税してしまうリスクもあります。行政書士は書類作成のプロですから、間違いやすいポイントを熟知しているだけでなく、記載すべき内容と記載しなくてもよい内容を容易に判別することができます。重要な書類をミスなく完ぺきに仕上げることができるのは、行政書士に依頼する大きなメリットといえるでしょう。

財産整理は誰に依頼すればいい?

財産管理は、銀行や信託銀行、信託会社に依頼することも可能です。法律の専門家でなくても関与できる業務だからです。

財産管理は遺産整理業務とも呼ばれており、委任契約を締結することによってその業務を一任することになります。みずほ信託銀行が行っている遺産整理業務は、実際の相続に必要な情報を提供するだけでなく、財産の管理や運用、処分に関することまでトータルサポートしているのが特徴です。信託銀行ならではの強みを活かして損をしないためのプランを提案してくれるため、安心して業務委託することができるでしょう。

ただその分、報酬額が高額になるデメリットがあります。最低報酬額は108万円となっており、相続財産の額に応じた財産比例報酬を別途支払うことになっています。また相続税申告や不動産移転登記などは銀行では対応することができないため、自分たちで手続きするか税理士や司法書士などへ依頼することになります。

そのようなデメリットがあるならば、初めから法律の専門家へ依頼するという方法もあります。

相続登記は誰に依頼すればいい?

相続登記は司法書士の独占業務となるため、行政書士や銀行、信託銀行に依頼することはできません。相続登記については司法書士へ依頼するのが原則です。

もちろん自分で相続登記することも可能です。しかし提出先となる法務局の開庁時間は平日の日中となっているため、会社を何度も休む必要があります。忙しい相続人のためいオンライン申請システム(登記ねっと:https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/toukinet/top.html)も用意されていますが、申請用総合ソフトをダウンロードしてからインストールしたり、電子証明書データを使って申請者情報を登録したりと、めんどうな手続きがたくさんあって大変です。自分で相続登記する場合は、時間と労力がかかることを覚悟しておく必要があるでしょう。

冒頭で行政書士へ相続登記を依頼することができないと申し上げましたが、同じ事務所に司法書士や税理士、弁護士などが在籍していればワンストップで対応可能となります。ただし、それぞれに対して委任契約を締結することになるため、別途費用が発生すると考えたほうがよいでしょう(事務所によってはトータルサポートで、別途費用が発生しない総額プランになっていることもあります)

かといって相続に強い税理士へ依頼したとしても、非課税限度額内で収まってしまえば相続税申告をする必要はなく税理士の出番がなかった、ということもあるかもしれません。まずは書類作成のプロである行政書士へ依頼し、段階的に専門家のサポートを得る方法がもっとも損をしない方法かもしれません。

まとめ

財産管理や相続登記といった、相続に関するすべての業務を行政書士に任せることはできません。法律の専門家といえどもそれぞれが携わることのできる独占業務があるため、相続登記は司法書士へ、相続に関する訴訟手続きは弁護士へ、そして相続関係説明図・財産目録・遺産分割協議書の作成は行政書士へ依頼することになります。行政書士の事務所なのに相続登記ができると謳っているのは、知り合いの司法書士へ代行していることや行政書士と司法書士の資格を同時に取得していることが考えられます。今回解説したポイントを参考にして、誰に依頼するのかを検討してみてください。

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この記事の監修者

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プロのコメント

木原奈緒美 行政書士
  • 行政書士きはらなおみ事務所
  • 木原奈緒美行政書士

相続に関する業務を行政書士に一任できるかどうか・・・・・ 結論を言えば、「一任することは可能」です。 もちろん、各士業にはそれぞれ独占業務がありますから、行政書士が単独で、すべての業務を行うわけではありません。 例えば、相続登記なら司法書士さん、税関係は税理士さん、という具合に。 また、遺産分割で争いになってしまった場合には、行政書士はそこに立ち入ることはできません。そのような場合には弁護士さんにお願いすることになります。 一般の方にとって、どの士業がどういう業務を扱っているかということはわかりにくい部分です。 相続税、相続登記など、すべてお願いしたくて専門家のところへ行ったにもかかわらず、 「うちは〇〇は専門外でできないから…」 と追い返されてしまったとしたら、お客様は途方に暮れてしまいます。 行政書士に一任していただければ、行政書士の側で必要であればそれぞれの専門家に業務を振って手続きを進めます。 ですから、お客様が、それぞれの手続きに応じた専門家を新たに探したり、依頼したりする必要はありません。 誰に相談していいかわからない、ということがあれば、とりあえず行政書士に相談してみてはいかがでしょうか。 まれに自己の業務のみに専念し、他士業との連携をおろそかにしている行政書士の先生がいるかもしれません。 が、私をはじめ、こちらに登録されている行政書士の先生方であれば、相続業務を一任しても、適切に取りはからってくれるものと思います。

田中利英 行政書士
  • 田中行政書士事務所
  • 田中利英行政書士

各専門家(士業)の業務範囲は、私がご説明するときは提出する窓口がどこかで判断してください。っと申し上げてます。 窓口が税務署(相続税の申告など)の場合には税理士事務所、法務局(不動産登記や法人登記の申請など)の場合には司法書士事務所、社会保険事務所や年金事務所などの場合には社会保険労務士事務所、遺産分割協議がまとまらず「争続」になってしまった場合は弁護士事務所、その他を行政書士事務所 っというような感じですが、このように見てみても正直、一般の方にはわかりにくいかと思います。 行政書士事務所の立ち位置は、相続についてであれば広く浅くの知識と共に総合窓口としてご相談者様のお話に耳を傾けることですので、まずは行政書士事務所にご相談ください。(通常、各種専門家とのネットワークがありますので必要な専門家を手配してくれます。) 私の事務所でも以前に相続が発生したけども不動産の相続登記は行っていなかったという場合でもまずは私の方で過去の相続時に集めた書類などがあるのかどうか?などのお話を聞いてから、一番良い方法は何か?を出したうえで司法書士事務所の手配をいたしておりますので、何か困った・誰に相談していいかわからないという場合には行政書士事務所へご相談してみてください。

高島秀行 弁護士
  • 高島総合法律事務所
  • 高島秀行弁護士

相続については、弁護士に依頼すれば 争いがあってもなくても 依頼を受けることができます。 依頼を受ける範囲に制限もありません。 司法書士や行政書士は、相続に関し代理人として交渉をしたり 遺産分割調停をしたりすることはできません。 相続に関しては弁護士に相談し 依頼された方がよいと思います。

勝桂子 行政書士
  • こちらOK行政書士事務所
  • 勝桂子行政書士

【行政書士を士業のハブとしてご利用ください】 行政書士の業務範囲について、林先生のおっしゃる通り「控除説」で把握していただくのがわかりやすいです。 行政書士は、①官公署(役所等)へ提出する書類作成の代理と、②権利義務・事実証明に関する書類(本文に列挙されている相続関係説明図、財産目録、遺産分割協議書など)を作成ができます。 ①の「官公署」のうち、 ・裁判所に出す書類は弁護士 ・税務署に出す書類は税理士 ・法務局に出す書類(登記申請)は司法書士 ・労務関係の書類は社会保険労務士 というように、専門性の高い書類については別士業の独占業務となっているので、①の分類としては、「その他の役所に出す書類」~つまり各種の営業許可申請、改葬許可申請、自動車関係の申請etc.~ができるということになります。 行政書士は、相続業務のうち不動産登記は司法書士に、税務申告は税理士に依頼しなければならないので、複数の提携司法書士・税理士と懇意にしている場合が多いです。 私の場合でしたら、税務申告期限が迫っていて迅速に進めたい場合の司法書士事務所と、相隣関係で測量が必要な場合の土地家屋調査士兼業の司法書士事務所、法人設立を素早く行いたい場合に休日でも動いてくれる独身の司法書士さんを使い分けています。 林先生がおっしゃるとおり、一般のかたが資産税に長けた税理士とご自分のケースにふさわしい司法書士を見つけるのはたいへんなことです。 【複数士業が絡むけれども、全体費用は安くなる】 窓口を行政書士にしていただくことで、面倒な戸籍収集や相続関係説明図の作成は自宅開業などで時間単価の安い行政書士が担当し、司法書士は事務所にいながら登記申請書類をつくるだけ、税理士は税務申告のみに集中できる、という状態でタッグを組めば、総合的にかかる費用を2~3割程度低く抑えることができるといえます。 ぜひ行政書士を士業のハブとして相談窓口にしてみてください。

大熊厚史 行政書士
  • 行政書士ダンディ法務事務所
  • 大熊厚史行政書士

私の行政書士ダンディ法務事務所では弁護士と司法書士がいますので、相続の案件は全て引き受けてしまいます。私は戸籍の収集・相続人の特定・相続関係説明図の作成・遺産分割協議書の作成をしています。相続登記は司法書士に、争う事があるケースは弁護士にスムーズにバトンタッチしています。  一般に弁護士の報酬は高いと思われているので、一般の方は安くやってくれる行政書士に頼んでくるケースが多いです。司法書士と行政書士の区別も分からない人が多いのが現実です。私の事務所にも「登記をお願いします。」とよく電話がかかってきます。  それが現実なのだから、行政書士にとりあえず相続を相談して、行政書士が出来ない業務は司法書士や弁護士に頼むのが一番得策だと思います。

大賀浩一 弁護士
  • さっぽろ法律事務所
  • 大賀浩一弁護士

高島弁護士のおっしゃるとおり、相続に関する相談や依頼は、弁護士にしていただくのが一番だと思います。 林行政書士や木原行政書士のように、日頃から他士業と連携し、自分の資格に応じた業務範囲を超える場合は責任をもって他士業につなぐという方に相談すれば問題はありませんが、世の中、そのような良心的な方ばかりではありません。 私自身、多数当事者のいる遺産分割事件で司法書士や行政書士に依頼したが、相手方の1人から「業務範囲外」だと指摘されたり、法的に瑕疵のある遺産分割協議書等を送付して相手方を怒らせるなどして、結局は立ち往生してしまい、弁護士に相談・依頼し直さざるを得ないケースを複数経験しました。 そういうケースでも、立ち往生するまでの中途半端な業務の対価としての報酬を徴収されると、依頼者にとってはコスト高になってしまいます。 相続に関するご相談を、弁護士以外の士業の方にされる場合は、そういうリスクがあることを念頭に、業務範囲を超える場合には他士業との連携がとれるのかどうかを常に確認されることをお勧めします。 また、どの士業の誰に相談すれば良いかわからない、という場合は、公的な機関である日本司法支援センター(法テラス)のサポートダイヤル(全国共通0570-078374)に問い合わせれば、地元の法テラスに登録している弁護士や司法書士の紹介をしてくれるはずです。

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