自分の死後、会社をどうしますか?いつかくるその時のための遺言書の基本!

遺言・遺産相続

事業主の中には、自分の死後、会社を誰がどのように運営していくのか気になっている方も多いでしょう。できれば子どもたちに自分の死後も続けてほしいと思っていて、子どもの1人が実際に続けていく意思を有していても、法定相続分に従うと単純に金銭的価値に基づいて分割されてしまいかねないため、思いどおりになりません。この場合、遺言書を作成して、その意思を明確にするなどの措置を施しておく必要があります。

遺言書があるとできること

遺言書(ゆいごんしょ・いごんしょ)とは、死後、自分の財産をどのように処分するか等を記載した書面のことです。遺言書がなければ法定相続分(民法900条)に従って相続されるのに対して、遺言書に記載しておくことで誰にどれだけ相続させるかを決めることができます(相続人・相続分の指定)。遺言書で指定できる相続人は家族に限られず、お世話になった第三者や慈善団体を指定することもできます。加えて、遺産分割の方法を定め、または5年以内の期間であれば家などの財産の分割を禁止して、相続人の共有とすることができます(民法908条)。これにより、相続人が複数名いる場合であっても、たとえば一緒に経営に携わっていた長男を選んで店舗などの事業財産を継続させることができます。

法律上、いわば本人の最後の意思である遺言は尊重されており、仮に法定相続人の一人に「全く相続させない」と記載してある遺言書であっても、いったん有効なものとして扱われます。しかし、遺留分を侵害する限度において、法定相続人に遺留分減殺請求権を行使されて取り消される可能性があります。法定相続人に虐待されたなどの事情があり、1円も相続させたくない場合には、推定相続人を廃除する旨遺言書に記載しておくべきです(民法893条)。ただし、この場合であっても最終的には家庭裁判所が廃除相当か否かを判断しますので、必ずしも遺留分まで奪えるとは限りません。

3種類の遺言書は何が違う?

まず遺言書には、普通方式と特別方式があります。特別方式は、搭乗中の飛行機がまさに墜落しそうになっているなどの特別の事情がある場合に限って効力が認められるものなので、多くの人は、普通方式である自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種いずれかを作成します。

最も簡単に作成でき、コストもほとんどかからないのが全て自分で作成する自筆証書遺言です。ただし、最もトラブルになりやすいのも自筆証書遺言です。トラブルを防ぎたいならば、法律の専門家と相談しながら作成するか、公証役場で公正証書遺言か秘密証書遺言を作成した方が良いでしょう。公正証書遺言は公証人が作成するのでミスや偽造・変造の可能性が低く、万が一、紛失しても再発行してもらえるので安心できるでしょう。秘密証書遺言は公証役場に提出しますが、遺言書の内容を秘密にしておくことができます。自筆証書遺言と秘密証書遺言は、遺言者の死後、家庭裁判所において日付、署名等に関して検認が行われます。

遺言書作成の前に財産を明確に!

遺言書を作成するにあたっては、あらかじめ財産がどれだけあるのかを把握しておくと良いでしょう。相続人は、遺言者の死後、一定期間内に相続を受けるのか拒否するのかを判断しなければなりません。プラスの財産が多いのか、マイナスの財産が多いのかが明らかであれば、その判断に際して役立つでしょう。

法定相続分の限りでは遺言書がなくても相続がなされますので、法定相続人と法定相続分を理解しておくことで、余分な遺言書を作成せずに済むでしょう(遺言書は時に相続人間の争いを招く種となります)。あわせて各相続人の遺留分も知っておいた方が役立つはずです。

遺言書作成の注意点

自筆証書遺言は自分1人で作成できますが、厳格な要式行為(民法960条)なので、きちんとその作法を守らなければ無効となってしまいます。死後、どうすれば事業がうまくいくのかをせっかく考えても、それを相続人に守ってもらえなければ意味がありません。

まず遺言書の本文、日付、署名をすべて自筆で書き、押印する必要があります。日付は正確に書かなければならず、たとえば「○月吉日」とすると効力を認めてもらえないことがあります。署名に関しても実名をフルネームで記載しましょう。パソコン、ワープロで記載すると「自筆」とはいえず、誰が作成したものか不明確となるため、無効となります。

また、第三者を相続人に指定する場合、自分と相続人の関係性、相続人の住所を併記しておくと、相続人を特定するにあたって困難が生じません。

ミスがあればすべて台無し… だからこそ専門家へ相談を!

遺言書が効力を生じうるのは、遺言者が死亡した後です。このため、万が一、ミスがあっても、取り返しが利きません。大切な家族が争うのを防ぐために遺言書を作成したつもりでも、場合によってはその遺言書がきっかけとなって争いに発展することさえあります。そうなることを防ぐためには、最初から弁護士などの専門家に相談して、正式な作成方法を理解しておいた方が良いでしょう。専門家に相談することによって、遺言書として残しておくべき文章の書き方も教えてもらうことができます。

まとめ

自分の死後の財産の処分方法を記す遺言書。一般的に争いを避けるために作成するものなので、正式な作成方法に則ってきちんと作成しておきたいところです。そのためには自分で作成方法を把握し、疑問点については専門家に相談すると良いでしょう。

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プロのコメント

田中利英 行政書士
  • 田中行政書士事務所
  • 田中利英行政書士

こちらの記事では、経営者の方の死後に事業を後継者に引き継がせるという視点で書かれていますが、事業承継という視点で前もって準備をされておくのがいいかと思います。 また、事業を引き継ぐ方がいない場合にはM&Aなども検討されてもいいかもしれません。 しかし、どちらにしてもあまり馴染みのあるものではないので事業承継・M&Aに詳しい専門家にご相談されてみてはいかがでしょうか?その他、記事の中にあるように亡くなられてからご自身の想いを反映させるには遺言書の作成の他にも信託という選択肢を選んだ方がいい場合もありますので、ご自身だけの判断だけではなく専門家にご相談しながら最良の方法を見つけることをお奨めいたします。

高島秀行 弁護士
  • 高島総合法律事務所
  • 高島秀行弁護士

事業の承継は、会社の場合は承継者に少なくとも株式の過半数を 相続させることが必要です。 個人事業の場合は事業に必要な不動産を承継者に相続させることが必要です。 遺留分の問題もあることから、遺言書を作成する際には 弁護士に相談してください。

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