飲食店のドタキャン・無断キャンセルは困る!法的に正しい対処方法とは?

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インターネット上で気軽に飲食店の予約ができるようになりましたが、利用者数の増加とともにドタキャンや無断キャンセルの件数も増加しています。飲食店側としては大きな損害を受けるため、防止策としてキャンセル料を設定していることも多いですが、このキャンセル料をめぐってもトラブルが多発しています。飲食店は本来は楽しく食事をするための場所です。気持ち良く利用していただくためにも、法的に正しい対処方法について詳しく解説していきます。

増加傾向にあるドタキャン・無断キャンセルトラブル

かつては、電話をかけて相手と会話をしながら「予約」を行うという形態が主流でした。しかし、インターネットが普及した現代において、電話をせずとも手軽に予約ができる時代となりました。また、定番であるホテルや飲食業界のみならず、旅行会社や結婚式場、はたまた葬儀社などにおいても予約システムを活用している業界があります。

指一本で手軽に予約ができるようになっている一方で、ドタキャンや無断キャンセルも増加傾向にあります。

キャンセルに対する罪悪感が薄くなった?

かつては、電話をして予約をした手前、罪悪感からキャンセルしにくいという側面がありました。しかし、インターネットでは人を介さずに予約ができることもあり、予約キャンセルに対する罪悪感が薄れてきています。その背景から、予約をしたものの当日になってキャンセルをする「ドタキャン」、予約日時に現れず連絡もないという「無断キャンセル」が発生するものと思われます。

飲食店側としては、オーダーのあった料理を提供するために食材を仕入れ、人数分の座席を空けておかなければなりません。ところが、ドタキャン・無断キャンセルとなると、得られるはずだった利益を失うという損失が発生してしまいます。そのため、飲食店側としてはキャンセル料を設けてキャンセル対策をしているケースも少なくありません。ただし、そのキャンセル料の支払いや金額についてトラブルになることも多いのです。

予約のキャンセル料に関する法律は?

飲食店へ予約をした時点で、特定の日にサービスや料理を提供をうけ、その対価を支払うという「契約」が成立することになりますので、この契約を一方的に解約すると、損害賠償の対象になります。この損害賠償にあたるものが「キャンセル料」となります。

このキャンセル料については、「消費者契約法」によって上限額のルールが定められています。そのため、極端に高額なキャンセル料を請求することはできません。

キャンセル料の請求が無効となるケース

消費者契約法第9条は、「次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について無効とする」とし、その1号には、「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分」と規定されています。

この条文を要約すると、契約書によってキャンセル料の取り決めがされており、その契約に則ったキャンセル料の請求であっても、実際に損害を受けた以上のキャンセル料を請求してはいけないということになります。つまり、キャンセルされなかった際に本来受けることができた利益のみ、キャンセル料として請求できるものです。

例えば、客単価4,000円程の飲食店に30名の宴会の予約を入れたケースでは、例えドタキャンされたとしても、キャンセル料として100万円を請求することができないということです。

予約のキャンセル料の決め方

無用なトラブルを起こさないためには、適切なキャンセル料を設定することが重要です。そのためには、まずキャンセルに伴って生じる平均的な損害の額を算出する必要があります。

ホテルや式場などスペースを提供するサービスの場合

ホテルや式場といったような、いわゆるスペースを提供するサービスの場合、直前にキャンセルされることで顧客獲得の機会を損失することとなります。そのため、直前のキャンセルについては、損害の想定は難しくありません。ただ、事前キャンセルについては、キャンセル時期に合わせて、顧客獲得の確率を考慮して、キャンセル料を設定する必要があります。

エステ、学習塾など継続的なサービスの場合

エステ、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコンサービス、結婚紹介サービスなどの継続的なものについては、特定商取引法でキャンセル料の上限が定められているため、その金額以上の設定をすることができません。

例えば、エステティックサロンでは、サービス利用前の場合は2万円、サービス利用後の解約の場合は2万円または残りのサービス料金の1割かいずれか低い金額が上限とされています。ただし、商品の売買契約の場合、キャンセルされてしまってもほかの消費者に売却することができます。そのため、キャンセル料が無効になるケースもありますので注意が必要です。

キャンセル料を適切に請求するには?

キャンセル料の金額設定について理解したら、キャンセル料を適切に請求するために、予約の際には次のポイントを押さえておくようにしましょう。

キャンセル料規定について事前に合意しておく

トラブルを避けるには、キャンセル料について契約約款や規約に明記しておくとともに、契約する際に、口頭で説明しておくとよいでしょう。また、キャンセル料以上の損害が発生する場合には、キャンセル料のほかに損害賠償をするという旨も記しておくようにしましょう。

商品の売買の場合は、そもそもキャンセルすることができないという契約にする

商品売買の場合、キャンセル料の設定が難しいと解説させていただきました。そのため、商品売買の契約の際には、キャンセル自体ができないようにするという検討をしても良いかもしれません。ただ、キャンセルができないという契約条項については、契約の趣旨にもよりますが、公序良俗に反するような場合は無効となる(民法90条)など、デリケートな問題もありますので、弁護士などと相談をしながら決めるほうが良いでしょう。

キャンセル料の設定は慎重に検討しよう

キャンセル料に関するトラブルは、毎年増加傾向であり後を絶ちません。消費者契約法によって無効とされないためにも、キャンセル料の設定は慎重に行うようにしましょう。一人で決めるのは非常に難しいです。そのため、専門家である弁護士などと相談をしながら、キャンセル料の設定をしてみてはいかがでしょうか?

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プロのコメント

山栄大幸 社会保険労務士
  • 労働者派遣申請代行センター
  • 山栄大幸社会保険労務士

契約は申込に対する承諾により成立するというのが、民法の契約に関する規定であり、インターネット等の隔地者間においても、発信主義が採られております。 ウィーン売買条約の到達主義の考え方とは異なり、インターネット等の電子媒体により意思を発すれば、意思主義及び発信主義の考え方から契約は有効となります。 一旦、有効となった隔地者間の契約を取消した場合には、期限によっては、一方から役務の提供のための準備が発生して、損害が発生する場合も有りますので、契約の解除を行う場合においては、早い段階での解除が望まれます。 売買契約においては、手付金を支払ってから契約解除を行う場合は、手付金を放棄する。 手付金を受け取った側が契約解除を行う場合においては、手付金の倍返しを行う。 当該場合においても、当事者の一方が履行の着手を行った場合においては、契約解除を行う事ができない。 飲食店の予約においても、一定の期限内では許容されますが、当事者の一方である店側が買い出しや仕込等の履行の着手を行った場合においては、発生した損害を補填して原状回復義務が生じるものと解釈されます。

吉川直樹 社会保険労務士
  • 吉川経営労務商会
  • 吉川直樹社会保険労務士

>消費者契約法第9条は、「次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について無効とする」とし、その1号には、「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分」と規定されています。 →この類型の契約は消費者契約法が活躍します。損賠賠償の予定に一定の上限を設けるということです。おすすめの文献は「逐条消費者契約法」(商事法務)です。なお消費者の利益を一方的に害する条項の無効ということが同法第10条に唄われています。   民法の私的自治の原則(意思自治の原則)の濫用により、普通取引約款(:集団的取引を迅速かつ安全にするために、ある種類の取引についてあらかじめ定型的に定められた契約の条項であって、企業者がこれによって差数の個々の取引をしようとするもの 「新法律学辞典(第3版)1231頁)の場面において消費者大衆の権利が損なわれるのを消費者契約法という特別法が修正をかけているということですね(「特別法は一般法を破る」)。

門田睦美 税理士
  • 門田睦美税理士・社労士事務所
  • 門田睦美税理士

キャンセル料を支払う場合や受ける場合の消費税は、不課税取引になりますので注意してください。

中原章雄 行政書士
  • 中原法務事務所
  • 中原章雄行政書士

上記でほぼ十分ですが、その後のために一言。トラブルになって争う場合には、証拠が重要です。証言も証拠ですが、出来れば、書面とか物証を保持しておいてください。そして、訴訟をする前に、調停をしましょう。訴訟費用の半分でできますし、弁護士はいりません。調停案がのめなければ、そのまま訴訟に移行でき、調停費用を訴訟費用に回せますから、あと半分だけを払えばよいこととなります。

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この記事の監修者

弁護士経験30年以上!培ったノウハウを還元し、企業・店舗だけでなく個人の法律問題にも幅広く丁寧な対応を心掛けております。 <当事務所の特徴> 1_企業・店舗へ積極的なアドバ...