開業資金を親族から受け取ったら税金はどうなる?

相続

開業するとき、親族から資金を調達できるとありがたいものです。ですが、借り入れたのか、贈与されたのかで税金面での対処の仕方が異なってきます。贈与の場合は、金額によっては贈与税が課税される場合もあります。それぞれの場合の注意点と対策について、贈与税の仕組みと制度を中心に具体的に解説します。

親族から「借り入れ」を行った場合

開業資金を親族から借り入れた場合、親しい間柄なため、返済が不規則になってしまいがちです。また、資金に余裕のある状況での借り入れであれば、親族からの贈与とみなされてしまう場合があります。したがって、親族間であっても、資金を借り入れた場合は、銀行からの借り入れと同様に契約書を交わしておく必要があります。

また、金利に関しても、無利息で行うと通常の金利との差額を贈与とみなされてしまう場合もあります。よって、金利も市場の金利を参考にして、適切な金利を設定しておくべきでしょう贈与税は相続税を補完する税であり、税率が高く設定されているため、このような対策を講じる必要があります。

親族から「贈与」された場合

現在、生きている人からもらった財産に対しては「贈与税」が課せられます。財産をもらった人が税金の申告を行い、負担する必要が出てきます。

この贈与税には基礎控除という制度があります。基礎控除とは、1人の人が1年間に受け取った財産の合計額が110万円までなら、贈与税がかからないというものです。110万円までであれば、もらった人は贈与税の申告も負担も不要ということになります。

ここで注意したいことは、贈与はもらう人の意思があることが前提であるということです。また、贈与税は財産を受け取った人が自分で申告・納税を行う義務があります。開業後の税務調査を想定して、贈与の場合でも贈与契約書を作成しておいたほうがよいといえます。また、贈与税の申告方法は2種類あるので、次から詳しく解説します。

暦年課税とは

暦年課税とは、1年間の課税価格から基礎控除110万円を差し引きした金額に贈与税を課税する方式のことをいいます。贈与税の税率は課税価格が引き上がるたびに上がっていきます。

例えば、課税価格が1,000万円の場合、贈与税は、(1,000万円-110万円)×40%-125万円=231万円もの贈与税を負担することになります。せっかくもらったお金の20%以上を税金でとられてしまうことになります。

ただし、基礎控除の範囲内の年間110万円の贈与を9年間かけて行えば、贈与税はかかりません。つまり、贈与は何年間かで、何回かにわけて行うほうがお得です。しかし、1,000万円よりも多くのお金を贈与したい場合は、この暦年課税方式で贈与すると時間がかかります。早い段階から贈与をスタートしないと、贈与税を非課税にするのは難しいといえます。

相続時精算課税とは

相続時精算課税とは、贈与税が極力、課税されないようにできる制度です。具体的には、2,500万円までは、贈与税がかからない特別控除というものが設定されています。

ただし、この相続時精算課税を利用する場合は、毎年、確定申告を行う必要があります。申告をしないと前述した暦年課税により、課税されることになります。また、この相続時精算課税制度をいったん利用した場合は、毎年継続しなければならず、撤回ができません。

この制度を利用すれば生前に多くのお金を移転されることも可能です。この相続時精算課税制度の注意点は、生前に贈与された財産と相続時の財産を合わせた財産の額に相続税が課税されるということです。したがって、将来的に相続税が発生することが予測される場合には適さない方法であるといえます。

相続税の基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。法定相続人が2人とした場合、4,200万円となり、5,000万円以上も相続財産がある場合は適さないといえます。逆に相続税が発生しないで、2,500万円前後の財産を贈与したいような場合は、相続時精算課税を利用して贈与を行ってもよいといえます。

開業資金を親族から受け取る場合の注意点と対策

開業資金を親族から現金で受け取ったものを借り入れにするのか、贈与にするのかで扱いが異なります。

借り入れの場合は、契約書を作成して、金利も設定しておく必要があります。また、贈与の場合は、贈与税の負担がかからないような対策を行う必要があります。金額によって、暦年課税か相続時精算課税制度の利用を検討するほうがよいでしょう。

また、贈与を行う場合でも契約書がないと贈与の実態がないとみなされてしまうため、契約書を作成しておく必要があります。

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この記事の監修者

【中小企業から宗教法人、スポーツ選手まで 海外進出のサポートも充実!】 みなさんこんにちは。代表の今野真輔(こんの しんすけ)です。 税理士として開業したきっかけは、税...

プロのコメント

染木満則 税理士
  • 染木満則税理士事務所
  • 染木満則税理士

開業時にはとかくお金がかかるものですから、少しでも負担を減らすことを考えれば、親族からの贈与や借入金を考えるのは方法としてあると思います。 他の先生方のご指摘にもありますが、贈与の場合、きちんとした書類を残すことなど手続きを踏んでおくことがとても大事ですね。

山栄大幸 社会保険労務士
  • 労働者派遣申請代行センター
  • 山栄大幸社会保険労務士

個人事業主として開業する場合は、消費貸借契約書を文面化して、有償の要物契約にするのが合理的だと思います。 民法上の法定年利は年5%で、商法上の法定金利は年6%になりますので、親族の方が商人でなければ、年5%の法定年利で、親族の方が商人(商売を営んでいる方)であれば、商人間の取引(商売を営んでいる者同士の取引)として契約書に交わすのが妥当だと思います。改正民法で若干の変動が有ると思いますが。当該法定金利以下での消費貸借契約であれば、利得が有ったものと看做されて、課税の対象となることも有り得ます。 開業してから法人成りする場合には、法人税法が適用されますので、「同族会社の行為計算否認規定」が適用されて、利息分の利得に対し、同様の課税が行われる事も念頭に入れる必要が有ります。 仮に開業してから法人成りする場合には、親族の方を発起人に入れてから取締役等の役員として商業登記簿に搭載して、発行済株式の株主持分割合の構成員に入れる方法もあるのではないかと思います。利益が有った際に、配当として親族の方に還元していく形態であれば、親族の方にも喜ばれますし、税金対策としても、資金調達面における自己資本比率の割合を見る場合にも好都合な方法ではないかと思います。

越川智幸 行政書士
  • 越川行政書士事務所(福岡)
  • 越川智幸行政書士

私は、創業特区である福岡市に所在することから、新規創業に関する相談を多く受けておりますが、創業資金の一部を親族から提供されることは、一般的になっています。特に、若い方が創業されるにあたっては、少しでもリスクを抑えたいとの思いが、ご両親にもあるようです。 親族からの資金提供は、受入主体が創業者個人であるか、又は事業(個人事業・法人)であるかに区分できます。受入主体が個人の場合は、贈与受入、又は借入金として、受入主体が法人の場合は、出資受入、又は借入金として、分類できます。 税金の扱いについては、個人・個人事業は、個人の所得税、法人の場合は法人税です。課税に関しては、専門家である税理士先生のコメントをご参照ください。 どの区分、分類を選択するか、この点を判断する必要があります。ご自身の自己資金と、親族からの資金受入れで、事業上の資金を賄える場合は、親族からの資金は、借入金とすることをお勧めします。当面、金融機関融資の必要が無く、契約面も明瞭で、資金提供いただいた親族による会社経営への関与が無いためです。 資金提供された親族が、株主となるかは、ご関係性、ケースバイケースの判断となります。会社の機関設計に関わる点ですので、長期的な視点で検討する必要があります。お近くの創業支援の専門家などにご照会することをお勧めします。 中小企業診断士・行政書士 越川智幸

川村達弥 税理士

贈与税の課税対象にならないように金消契約を結んで一定期間毎に返済する形を取りましょう。調達資金の金額にもよりますが、市場金利が低いので1〜2%の金利でしょう。 契約書のひな形はネットから拾えば充分です。 金額にもよりますが、それほど神経質になる必要はないと思います。

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