社会保険の加入要件や手続きとは?個人事業主も加入できるの?

社会保険手続

社会保険という制度は知っているけれども、いったいどれくらいの規模になると加入が必須となるのかわからないという個人事業主は少なくありません。社会保険への加入要件や範囲、そして2016年10月から拡大されたパート・アルバイトの加入範囲について解説します。

社会保険の加入要件

社会保険というのは、「健康保険」と「年金保険」の総称です。「健康保険」は病気やケガに対する保障制度で、費用の一部が支給されるものです。「年金保険」は、高齢や障がいなどによって働くことができなくなった時の保障制度です。

社会保険というのは、一定の要件を満たすと強制加入対象となり、必ず加入しなければなりません。法人として登記しているのであれば、どれだけ小さな会社であっても社会保険に加入しなければなりません。たとえば、雇用している従業員が1人であっても加入する必要が生じます。

そして、法人ではなく個人事業主の場合は、「常時5人以上」の従業員を雇用している場合、社会保険に加入する義務が生じます。もし、従業員が4人以下の場合は、加入の義務が生じません。ただし、第一次産業やサービス業、士業や宗教業などの一部の業種については、常時雇用している5人以上の従業員がいたとしても、強制適用事業所となりません。

未加入の場合のリスク

社会保険の強制適用事業所であるにもかかわらず、社会保険へ未加入であった場合、最悪の場合罰則が適用される恐れがあります。未加入に対しての罰則としては、追徴と罰金です。

年金事務所等の調査によって未加入が発覚した場合、該当する社員全員の社会保険料を2年間にさかのぼって追徴されます。毎月コツコツと支払っていると、気にならないような社会保険料納付額であっても、2年分を一気に請求されるとかなりの高額になります。また、社会保険料は、従業員負担分もありますので、従業員が思わぬダメージを被ってしまうことでしょう。さらに、その従業員がすでに退職しており、年金事務所と連絡が取れない状態になっていると、従業員負担分を会社が肩代わりする必要があるのです。

また、罰則としては健康保険法第208条で定められており、6か月以下の懲役、または50万円以下の罰金となっています。罰金を明示されてしまうと、金銭的な問題はもちろんですが、社会的な信用失墜につながる恐れもあります。そのため、社会保険の強制適用事業所になった場合は、必ず社会保険に加入をするようにしましょう。

任意での加入も可能

個人事業主であり、常時雇用している従業員が4人以下、もしくは第一次産業やサービス業、士業や宗教業などの一部の業種である場合は、強制適用事業所には該当しません。しかし、強制適用事業所でなかったとしても、個人事業主や従業員が望むのであれば、任意適用事業所として、社会保険に加入することが可能となっています。ただし、個人事業所が任意で社会保険に加入した場合でも、事業主自身は加入できない注意が必要です。

任意適用事業所が社会保険に加入するためには、従業員の半数以上が健康保険や厚生年金保険の社会保険の適用事業所になることを同意する必要があります。同意が得られたうえで、個人事業主が厚生労働大臣に申請をして認可を受けることで、任意適用事業所になることができます。

個人事業主としては、支払わなければならない事業主負担の保険料が多くなるため、金銭的には損をしやすくなってしまいます。しかし、社会保険に加入することで、従業員の満足度を高めることができるため、長い目で見ると任意適用事業所になっておくほうが、おすすめといえるでしょう。

アルバイトやパート労働者について

平成28年10月1日から、社会保険に加入する対象の範囲が拡大されています。特に、これまで週20時間以上30時間未満であったアルバイトやパートタイム労働者は、社会保険の加入対象となっていませんでした。しかし、501人以上の会社については、週20時間以上かつ月額賃金8.8万円以上の労働者について、社会保険に加入する対象となるように変更されました。

従業員が500人以下の会社や個人事業主については、原則として今まで通り週30時間以上働く労働者が対象となります。しかし、平成29年4月以降は一定の条件をクリアすることで、同様に週20時間以上働く労働者についても、社会保険に加入することができるようになっています。

一定の条件とは次の通りです。

・従業員の2分の1以上の同意を得て労使の合意を結ぶ。

・事業主が年金事務所に申し出をする。

社会保険の適用事業所となっている個人事業主で、アルバイトやパートタイム労働者がいる場合は、加入範囲の拡大なども検討をしてくとよいでしょう。

社会保険の加入要件を再度確認しよう

個人事業主であっても、要件に該当すれば社会保険の強制適用事業所となります。また、適用の範囲外であっても、従業員の同意を得ることで任意適用事業所として、社会保険に加入することができるのです。加入の是非や、加入の手続き等については、専門家である社会保険労務士などと相談をしながら進めていくようにしましょう。

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この記事の監修者

「助成金/年金相談したい!」「未払い残業代どうしよう…」「保険手続の負担が…」 ⇒社会保険労務士へお気軽にご相談ください! ◆助成金に関わるご相談/申請代行 事業経営して...

プロのコメント

山栄大幸 社会保険労務士
  • 労働者派遣申請代行センター
  • 山栄大幸社会保険労務士

健康保険及び厚生年金を企業=法人に導入する場合及び従業員5人以上の個人事業所に導入する場合は、社会保険新規適用事業所設置届及び健康保険厚生年金資格取得届を年金事務所に提出致します。 その際に、法人の場合は、法人登記簿謄本が、個人事業所の場合は、事業主世帯全員の住民票謄本が添付書類として必要になります。 法人について見ていきますと、民法上においては、法人実在説と法人擬制説が有ります。 法人実在説とは、法人は株主に還元されない固有の存在=出資者などとは別にそれ自体で独立して存在しているとみる説になります。 一方で法人擬制説とは、法人は単に株主の集合体にすぎないとする説=法人は自然人に擬制して認められる人格にすぎないと云う19世紀ドイツの法学者サヴィニー(F.K.von Savigny)が提唱した法人理論が由来になります。 即ち、法人=会社は法律が自然人であるかのように擬制(本質の異なるものを法律上同一視すること)したことによって存在するという考え方。いいかえれば,会社を個人の集合体と考える立場ですので、経営者=会社となります。 法人が社会保険に加入する場合においては、法人実在説の立場を採り、事業主(=社長)は、法人は株主に還元されない固有の存在=出資者などとは別にそれ自体で独立して存在している主体の中の構成員の一員に過ぎないと言った解釈が採られます。 従って、株主に還元されない固有の存在=出資者などとは別にそれ自体で独立して存在している主体として擬制された法人により雇用される客体である法人事業主は、厚生年金及び健康保険(社会保険)の被用者となり得る。即ち、社会保険の加入者となり得ると言った解釈になります。 一方で、個人事業所が社会保険に加入する場合においては、法人擬制説の立場を採り、個人事業主は株主(=出資者)の集合体全体を君臨する者(=経営者)ですので、被用者とはなり得ない。即ち、社会保険の加入要件に該当しないと言った解釈となります。 従って、個人事業主は、社会保険の加入者となり得ないという結論(=法解釈)となります。

澤辺祐太 社会保険労務士
  • たすいち社会保険労務士事務所
  • 澤辺祐太社会保険労務士

年金事務所から、未加入事業所に「社会保険に入って下さい」という通知が届くことがあります。今、年金事務所は、いよいよ本気で強制適用に取り組んでいます。通知が届いたら、まずは慌てないことです。御社だけにその通知を送っていて、狙い撃ちにしようとしているのではありません。未加入事業所というのは数えきれないほどたくさんあります。年金事務所の視点になりますと、御社の位置づけは、数えきれないほどある事業所の中の1つに過ぎません。一番いけないのは、何のリアクションもしないことです。窓口に行くなり、電話をするなり、必ず何かしらのアクションを起こして下さい。 ちなみに、年金事務所は、事業所の実態を把握出来ていません。 これは、ついこの前の話ですが、「加入すべき人が事業所がいない」という状態にも関わらず、お客様に通知が届きました。 加入すべき人が事業所にいない=新規適用事業所になることが出来ない、という図式が成り立ちますが、にも関わらず、通知は普通に届きます。 加入する人がいなければ、その事実を伝えれば、電話1本で済む話です。そのままにしておきますと、何も悪いことをしていないのに、電話がかかってきたり、通知がさらに届いたり不快な思いをすることになりますので、御社が加入の必要がない事業所だとしても、そのままにせずに、その旨を年金事務所に伝えることをおすすめいたします。

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