遺言執行者とは?備えて安心!遺産相続の基礎知識

遺言・遺産相続

遺言が遺されていても遺産相続が複雑になる場合には、実行されるまでに時間と手間を要します。できる限り故人の意思を尊重するため、遺言の内容を実現する役割を担うのが遺言執行者です。しかしすべての遺産相続で、遺言執行者が必要になるというわけではありません。ここでは遺言執行者が果たす役割と、選出した方が良いケースなどについて解説していきます。

遺言執行者の定義と役割

遺言執行者は遺言執行人とも呼ばれ、遺言の内容に沿った財産相続を実施する役割を果たします。遺言執行人は遺言を執行するにあたり、金融機関の口座解約や不動産名義の書き換えなど幅広い権限を持ちます。遺言執行者は、被相続人が予め指名しておく場合もありますが、必要に応じて家庭裁判所に選任してもらうこともできます。

 

相続手続きの中には、特に遺言執行者でなくても可能なものもありますが、認知や推定相続人の廃除、取消については遺言執行者でなければできません。そのため遺言書の中に、「子どもの認知」や「相続人から排除する」という文言があれば、遺言執行者を置く必要が出てきます。相続人以外への遺贈や不動産登記の移転などでも、遺言執行者がいた方がスムーズに実行できます。遺言執行者はすべての相続に必要というものではありませんが、遺言を迅速に実現できるメリットがあります。

遺言執行者には誰がなるのか

基本的には遺言執行者には、未成年者や破産者を除いて誰でもなることができます。信託銀行などの法人が務める場合も珍しくありません。またひとりでは荷が重いという場合には、複数人で役割を担っても構いません。相続に直接かかわる受遺者や相続人からでも、遺言執行者に選出できます。ただし相続人のうちの一人が遺言執行者となった場合には、その人物のみが相続財産の管理処分権限を持ちます。他の相続人が遺言の執行を妨害することはできません。

“民法第1013条

遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。“

遺言書の作成にまつわる手続きを弁護士や行政書士に依頼したときには、その弁護士や行政書士を遺言執行者に指名するというケースが多く見られます。同様に、信託銀行を利用した場合には、そのまま信託銀行を遺言執行者とすることがあります。

遺言執行者を用いた方が良いケースとは

被相続人に隠し子がいて財産を相続させたいときには、認知が必要となるため遺言執行者の指名は必須です。相続に不適格と思われる人物を相続から除く場合にも、遺言執行者を立てなければなりません。

必ずではないにしても、遺言執行者を決めた方が相続をスムーズに行えるケースもあります。例えば遺言によって不動産が遺贈された場合、登記移転は相続人全員での共同申請となります。相続人の中に遠方に住んでいる人がいたり、高齢者がいたりすると、作業に手間取ります。また遺言の内容を、面白く思わない相続人がいるかもしれません。登記には相続人全員の協力が必要となりますが、遺言執行者が指名されていれば全権限を一括できるため、こうした問題もクリアできます。

口座の解約についても本来は全員の署名が必要ですが、金融機関によっては遺言執行者がいれば、手続きの簡略化が認められている場合があります。

遺言執行者を選出する際の注意点

被相続人は「子どもの認知」「相続人の廃除」を希望する場合、遺言書の作成とともに遺言執行者を指名する必要があります。遺言執行者の指名に際しては、当人の承諾を確認し、相続処理に関するすべての権限を許可する旨を記します。遺言執行者に指名され、これを承諾した場合には、遺言執行者以外に役割を肩代わりできなくなります。一度引き受けた後で忙しいからといって、他の受遺者や相続人に任務を行わせることは認められません。

また、遺言執行者が決められているときには、相続人であっても遺言に反する場合、勝手に財産を処分できなくなることもあります。不動産登記や銀行口座の解約など重要な項目に関しては、被相続人の意志を明確にしておくと、遺言の実施にあたっての抵抗を回避できます。

遺言執行人が不適格と思われる場合

利害が発生する相続人から見て、遺言執行者が怠慢であったり、不誠実であったりする場合には解任が可能です。

“民法第1019条(遺言執行者の解任及び辞任)

1 遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができる。

2 遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。

遺言執行者はあくまで故人の遺志を継ぐ行動をしなければなりません。財産管理が不適切であったり、遺言の執行をなかなか行わないようであったりするときは、家庭裁判所に申し立てて新たな適任者を遺言執行者に選出します。

遺言執行人は遺志遂行の見届け役

被相続人にとって遺言通りに相続されることは、最後の願いでありそれが為されるかどうかが気がかりでもあります。遺言執行者はそうした個人の意志を実現し、適切な相続を遂行します。遺言執行者が決められていなくても滞りなく相続できる場合も多いのですが、ときには急に必要となることもあります。遺言執行者の選任や、遺言内容の執行については、さまざまな手続きを経なければなりなせん。相続人たちの不満をできる限り抑えるためにも、相続を得意とする行政書士などの専門家への依頼がおすすめです。

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プロのコメント

染木満則 税理士
  • 染木満則税理士事務所
  • 染木満則税理士

私も仕事上、お客様とのお付き合いの中で遺言執行者になってほしいというご依頼をいただくことがあります。 遺言の執行はただ事務的に作業をすればよいというわけではないことや、ご親族との関係の上で非常に慎重に行う必要があると思います。 大変重要かつ責任の大きな仕事と意識して取り組んでいますが、それもお客様からの信頼をいただいてこそと考えています。

萩原洋一 行政書士
  • 行政書士 みけねこ事務所
  • 萩原洋一行政書士

最近は意図しないトラブル防止のために「遺言書」を用意する方が増えてきています。 相続トラブル“争族”は決して遠くの世界の出来事ではなく、相続人が2人以上いらっしゃるご家庭であればどこでも起こり得るものです。 また、「遺言書」を作成してあるのと無いのとでは、その後の手続の難易度にも圧倒的な差が生まれます。 ただでさえ大切な人を失った悲しみに襲われている最中、複雑な手続きが必要になると家族の時間や体力気力を奪われてしまいかねません。 「遺言書」には、家族を守る効果もあるのです。 「遺言書」の効果を最大限発揮させるためには、作成するタイミングで専門家に「遺言執行人」を依頼しておくのが一番です。 専門家が中心となって手続きを進めることができれば、手続きを進める上でのすれ違いでトラブルが発生する恐れも減り、何よりご家族が故人を偲び気持ちを整理するための大切な時間を確保して差し上げることができます。 せっかく「遺言書」を作成するのであれば、その想いをより確実に実現できるよう、最善を尽くしておきたいですね。

福田俊一 司法書士
  • 司法書士 福田事務所
  • 福田俊一司法書士

公正証書遺言の作成をお手伝いします。 ご遠慮なくご相談下さい。 浦和の司法書士  福田俊一 048-835-3131 

荻原正樹 司法書士
  • 司法書士おぎわら相続登記事務所秋田
  • 荻原正樹司法書士

公正証書遺言を作成する場合には、遺言書の中で遺言執行者を定めます。 自筆証書遺言で遺言執行者の定めがない場合には、裁判所に遺言執行者選任の申立てをする必要があります。 詳細は当事務所までご相談ください。

越川智幸 行政書士
  • 越川行政書士事務所(福岡)
  • 越川智幸行政書士

 遺言の意義、公正証書遺言について纏めましたので、遺言書作成をご検討されている方はご参考にされてください。 遺言、ご自身の人生において仕事や社会への貢献の足跡、結果である財産に関する、遺言者の意思表示です。遺言は、遺言者自らが、財産の帰属を決め、相続を巡る争いを防止しようとすることを目的としています。 遺言のない場合は、民法の相続分で遺産を分けます。(「法定相続」)。民法は、例えば、「子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。」というように、「抽象的に相続分の割合を定めているだけ」なので(民法900条)、遺産の帰属を具体的に決めるためには、相続人全員で遺産分割の協議をして決める必要があります。    しかし、自主的に協議をまとめるのは容易ではなく、協議がまとまらず家庭裁判所の調停又は審判での解決、又は解決自体が困難になる事例が多々あります。 遺言で、例えば、妻には自宅とA万円、長男にはマンションとB万円、二男には別の土地とC万円、長女には貴金属類とD万円といったように、具体的に決めることで、争いを未然に防ぐことができます。加えて、遺言では、例えば、遺言者を長年にわたり支えてきた、家業である事業を担ってきたなど、個別の家族内事情を反映することが必要です。  公正証書遺言の作成を依頼される場合には、最低限次の資料が必要です。事前に準備されると、打ち合わせが円滑になると思います。 ・遺言者本人の本人確認資料(印鑑登録証明書又は運転免許証、住基カード等顔写真入りの公的機関の発行した証明書のいずれか一つ。) ・遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本 ・財産を相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票(法人の場合には資格証明書) ・財産の中に不動産がある場合には、その登記事項証明書(登記簿謄本)と、固定資産評価証明書又は固定資産税・都市計画税納税通知書中の課税明細書  以上、ご参考になれば幸いです。

出間忠公 税理士

現在、司法書士が遺言執行者となる相続の依頼がきています。相続税申告については税理士が遺言執行者としてセットで依頼される場合がありますが、不動産等の登記などが必ず付いてきますので信頼できる司法書士の方がいれば、司法書士になってもらうのが良いのではないでしょうか。もちろん、信頼できる税理士に司法書士を紹介してもらうのも安心の一つだと思いますし、その税理士になってもらうことも安心ではありますね。

宿輪德幸 行政書士
  • 行政書士AFPしゅくわ事務所
  • 宿輪德幸行政書士

遺言執行者のみが執行できるもの\uu000b ①認知、②推定相続人の廃除・取消\uu000bこの場合は、遺言執行者が必要で、もし遺言執行者がいないときは、家庭裁判所に\uu000b遺言執行者を選任してもらわなければなりません。\uu000b      遺言執行者または相続人が執行できるもの\uu000b①遺贈、②遺産分割方法の指定、③寄付行為\uu000b ただし、遺言執行者の指定がある場合は、相続人は執行できませんから、遺言執行者\uu000b が執行することになります。 遺言の大きな目的は、トラブル防止に加えスムーズな遺産分割手続きであることを考えると遺言執行者の指定は重要です。弊所で遺言の作成を受ける場合は、基本的に遺言執行者は指定しています。\uu000b

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この記事の監修者

はじめまして、行政書士の遠山智弘(とおやま ともひろ)です。 行政書士は官公署(役所など)に提出する書類作成の代行をはじめ、契約書や遺言書作成のプロです。 建設業許可申請や...