個人事業主が知っておくべき「相続」と「相続税」の基本

節税対策
相続

親などが亡くなったときに発生する遺産相続。様々な遺産を引き継ぐ一方で、相続税の納付義務も発生する場合があることをご存知でしょうか。これまで相続に関わったことがないと、なかなかわかりづらい事項です。ここでは、相続税の基本的な知識や計算方法に加え、個人事業主の事業用資産の相続範囲などについて、詳しく解説していきます。

相続税とはどのような税金なのか?

相続税とは、文字通り相続が生じることによって国から課せられる税金のことをいいます。親が亡くなったり、遺言によって財産を受け取ったりした場合に、その財産金額に応じて税金が課せられます。

この「相続税」が生まれたのは、1905年ことです。当時は日露戦争中で、戦費を集めるため、財産の相続時に一括して税金をかける「遺産課税方式」が採用されていました。ちなみに、この当時は「家督相続」という遺産相続方式が採用されており、兄弟が何人いても長男がすべての財産を相続していました。

その後、この遺産相続方式は1947年に廃止され、遺産は配偶者や長男以外の兄弟や姉妹も遺産を受け取ることができるようになりました。それにより、課税方法も、遺産を受け取ったすべての人に対して課税する「遺産取得課税方式」へと変更されました。

ただし、遺産を相続しても、すべての場合において申告や納税が発生するとは限りません。一定の金額を超えた場合に相続税が発生する仕組みになっています。また、配偶者が遺産を相続する場合、相続税を軽減するための控除などがあります。

相続税の計算方法ってどうするの?

前述したように、相続税は遺産相続をした場合に必ず課税されるわけではありません。遺産の総額が基礎控除額よりも低かった場合、原則として申告や納税の必要がありません。基礎控除額の算出方法は、次の通りです。

「基礎控除額」=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

なお、法定相続人は以下のように定められています。

・配偶者(夫または妻)は常に法定相続人

・子がいれば、子が法定相続人(養子は最大2名まで法定相続人に加算)

・子が亡くなっていれば、孫が法定相続人

・子がいなければ、父母が法定相続人

・子も父母もいなければ、兄弟姉妹が法定相続人

このように、法定相続人数が増えれば増えるほど、基礎控除額が増えていきます。上記計算式で計算すると、法定人数ごとの基礎控除額は次のようになります。

・法定相続人1人 3,600万円

・法定相続人2人 4,200万円

・法定相続人3人 4,800万円

・法定相続人4人 5,400万円

・法定相続人5人 6,000万円

相続する財産が上記の金額を超えなければ、申告や納税の必要がないということになります。相続財産は現金だけでなく、不動産や有価証券なども対象になります。そのため、土地や株券といった財産がある場合、評価によっては多額の相続税が発生する場合があります。

相続財産が基礎控除額を超えた場合の相続税はいくらになる?

もし、相続財産が基礎控除額を超えた場合、いくらの相続税が発生するのでしょうか?相続財産等から基礎控除額を引いたものを、「課税遺産総額」といい、相続税率はその課税遺産総額に応じて、以下のように定められています。

・1,000万円以下 10%(控除額なし)

・3,000万円以下 15%(控除額50万円)

・5,000万円以下 20%(控除額200万円)

・1億円以下 30%(控除額700万円)

・2億円以下 40%(控除額1,700万円)

・3億円以下 45%(控除額2,700万円)

・6億円以下 50%(控除額4,200万円)

・6億円超 55%(控除額7,200万円)

たとえば、夫が亡くなり、妻と子供2人を相続人として、遺産の総額が1億4800万円だったとします。この場合、法定相続人は3人になるので、基礎控除額は4,800万円(3,000万円+600万円×3人)となります。その結果、課税遺産総額は1億円(1億円4,800万円-基礎控除額4,800万円)になります。

次に、この課税遺産総額1億円を、法定相続分に則って分割したとします。それぞれの相続分は以下のようになり、相続税額を算出することができます。

・妻  1億円×1/2=5,000万円 5,000万円×20%-控除額200万円=800万円

・子1 1億円×1/4=2,500万円 2,500万円×15%-控除額50万円=325万円

・子2 1億円×1/4=2,500万円 2,500万円×15%-控除額50万円=325万円

さらに、配偶者の場合、税額軽減措置が設けられており、法定相続分相当額については課税されません。法定相続分を超えて相続した場合も、1億6,000万円までは非課税となります。これは、配偶者は被相続人の財産をともに築いてきたものと考えられ、配偶者のその後の生活や二次相続を考慮しての優遇措置です。

個人事業主の事業用資産の相続とは?

一般的に法人の場合、事業用資産は相続資産の対象とならず、法人の株のうち、亡くなった方が持っていた分が相続対象となります。そして、その株式の評価を計算したものに相続税が課せられます。

しかし、個人事業主である親が亡くなった場合、個人が所有していた事業用資産は全て個人名義となっています。そのため、法人の場合と違って、すべての事業資産が相続の対象とされます。また、金融機関からの借入金や、取引先への支払債務などがある場合は、それらの負債も相続対象となります。そのため、相続人は債権者に対して、債務を返済する義務が発生しますので注意しましょう。

負債額が莫大な金額になっている場合、相続を放棄するという方法もありますが、その場合は負債だけではなく資産についても相続を放棄しなければなりません。相続放棄を検討している場合は、慎重に考えるようにしましょう。

相続税については専門家に相談しよう

相続財産はシンプルな金銭だけではなく、有価証券や土地建物も、相続税の課税対象となります。個人が計算して、申告と納税をするのは難しいのが現状です。さらに、被相続人が個人事業主であった場合には、相続に関する手続きはさらに複雑になります。相続税の専門家である、税理士に相談をしながら、税額の計算や相続税の納付をするようにしましょう。

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プロのコメント

辻本弘仁 税理士

相続税は、改正により相続税を支払う相続人が増えてはきています。 相続税は、法人税や所得税のように利益に対して課税されるのではなく、財産に対して課税されます。 よって、相続が発生してからの相談では対処しようがありません。 また、昨今では認知症等になられてから相談される方が多いですが、 その場合にも対処しようがありません。 従って、現状を知る意味でも相談前に相談されることをお勧めします。そうすると、贈与をするなり対策することができるからです。 財産の計算方法も複雑です。 まずは、気軽にご相談いただけれはと考えています。

内海敏夫 税理士
  • 内海敏夫税理士事務所
  • 内海敏夫税理士

相続税については専門家である税理士に相談していただければよろしいのですが、相続に関することとなれば話は別となります。 皆様ご存じないかもしれませんが、相続に関する裁判は、相続税が発生しない基礎控除以下の場合が圧倒的に多いのが現状です。 寄与分の争いもさることながら、私たち税理士から見て一番の問題は財産を分割できないことにあると思います。分割ため配偶者が居住している不動産を売却し、住む家が無くなってしまうこともあります(そのため今民法改正作業中。)。 昔から財産は長・中・短あるいは長・短で保有するのが望ましいと言われています。それは不動産のみではすぐに換金できないから、 有価証券、預貯金などすぐに換金可能な流動的資産も保有すべきであるということです。 相続が争族になってはいけません。責任の一端は被相続人となる親にもあることをお考え下さい。

裾分篤 行政書士
  • 行政書士マコサポートオフィス
  • 裾分篤行政書士

相続税が確実に発生しそうなら、まずは税理士へご相談してみましょう。 確定申告や決算などを依頼している税理士がいる方は、まずはその税理士へ相談してみるのがいいでしょう。 相続税が発生しそうにない方で、親やご自身が亡くなった場合の相続に不安がある方は、行政書士に相談してもよいでしょう。 特に親から家業を継いだ方で、お店の土地建物などがまだ親名義の場合、相続を上手く乗り切らないと事業に支障がでる可能性があります。 相続手続きを円満に、かつ円滑に進めるためには、どれだけ事前に準備できるかがポイントです。 相続の準備は、早いければ早いほどいいので、手遅れにならないうちに専門家へご相談されることをオススメいたします。 相続に関する相談は、初回無料の専門家も多いので、相談しやすいと思いますよ。

田邊美佳 税理士
  • オネスタ税務会計事務所
  • 田邊美佳税理士

相続税は亡くなった方が一生をかけて蓄積した財産に対して課税される税金であるため、その金額が多額となるケースも多くございます。この相続税申告を税理士に依頼せずご自身でされている方もいらっしゃいますが、この場合には相続財産に含めるべきものが漏れてしまうことがあるため、税務調査に入られる可能性が出てきてしまいます。申告漏れが見つかると高額なペナルティが課されてしまうこともあるため、当初から税理士に相談をすることをお勧めします。 なお、医者と同様、税理士も得意分野がございますので、相続税申告は相続を得意とする税理士にご相談頂ければと思います。

勝田健太郎 税理士

相続税についてご興味がある方であれば、「配偶者の税額軽減(一般的には、配偶者控除と呼ばれたりしています。)」や「小規模宅地等の特例」といった用語を聞いたことがあるかもしれません。 どちらも相続税を大幅に減額することができる特例ですが、その適用要件について、時々誤解をされている方がいるので注意が必要です。 これらの特例の適用を受けるためには、相続税の申告期限(10ヶ月以内)までに遺産分割が完了し、かつ、相続税の申告書を税務署へ提出する必要があります。 そのため、「特例を使えば相続税がかからないから、申告書を提出しなくても大丈夫。」と思い込んで、何もせずにそのままでいると、税務署から相続税の申告・納税漏れを指摘されることになってしまいます。 相続税がかからない可能性があっても、まずは早めに相続専門の税理士へ相談しておくことをおすすめします!

出間忠公 税理士

現在も相続の案件にかかっていますが、相続人の方が思っている以外に相続財産となるものがあったりします。被相続人の方が生きている間にしておけば相続税が安くなったのにと思う事もよくあります。事前に税理士に相談してみることは、安心への第一歩になるのではないでしょうか。

岩本進 税理士
  • 岩本進会計事務所
  • 岩本進税理士

相続税については、一般的にはなじみもうすいと思います。 しかし、先般の改正で、相続税の課税対象者が都市圏を中心に増えております。 そのまま放っておくと、思わぬ課税をうけることがあります。 相続が発生してから、10ヶ月以内の税務申告と納税が必要です。 納税も多額になる可能性もあります。 ですから、相続が発生した場合には、早い段階で税理士等の専門家に相談されることをお勧めします。 納税者個人で、申告をするのはかなり労力を要しますし、専門的知識も必要とされます。 専門家に相談されて安心頂くほうがよいと思います。

前川勝彦 税理士
  • 前川勝彦税理士事務所
  • 前川勝彦税理士

 配偶者控除(配偶者の税額軽減措置)について、よくわかりにくいとお聞きしますので、設例にある、妻と子2人が法定相続人のケースで説明させていただきます。  課税遺産総額が10億円であるケースでは、妻は法定相続分の1/2つまり、5億円までは原則的には配偶者控除により税額はかからないこととなります。(原則的にはと書かせていただいたのは、少し専門的になりますが、全体に対する取得割合を少数点以下を何位まで計算し、切り上げ、切り捨てするかにより、数万円程度の税額を支払う必要があるケースがあるためです。)  課税遺産総額が8,000万円であるケースでは、1億6,000万円以下であるため、妻が遺産のすべてを相続しても、税金がかからないこととなります。  ただし、目先の税額に捉われず、第二次相続(妻が死亡した時)が発生した場合の相続税も考慮する必要があります。

土屋雄志 税理士
  • 土屋税務会計事務所
  • 土屋雄志税理士

【保証債務の地位も相続される】 個人事業主が亡くなった場合に一番恐ろしいのは「保証債務」です。亡くなられた方が連帯保証人になっているケースで、この連帯保証人という地位である「保証債務」も相続されます。例えば、亡くなられたお父様が取引先の借入金の連帯保証人になっていた場合、相続人がそのことを知っていなくても、その保証債務は相続人に引き継がれます。そしてその取引先が借入金を残して倒産した時は、その借入金を相続人が返済することになります。考えただけでも恐ろしいです。

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この記事の監修者

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