事業主が知っておきたい助成金申請と受給までの流れ

助成金・補助金

助成金の申請は事業主が自ら行うことができます。しかし、事業主は日常の業務に忙殺されて、なかなか事務手続きに時間を割けないのが実情でしょう。申請書類にミスがあったり、受給要件を満たしていなかった場合には、助成金は受給できません。助成金を受給するために、事業主はどのようなことを確認すべきなのでしょうか?助成金取得までの流れを確認するとともに、助成金の専門家である社会保険労務士を活用する場合のポイントも整理します。

助成金の受給要件と受給計画

まずは、現状で助成金の受給が可能なのかどうかを確認します。助成金は主に厚生労働省が取り扱っているものを指し、雇用や人材育成に関する要件を満たすことで、どの会社でも受給可能です。この受給要件に自社がマッチしているのかどうか、インターネット上で簡易的にチェックできるサイトもあります。それでも判断できない場合は、専門家である社会保険労務士へ相談するのもよいでしょう。

受給できそうな助成金があったら、助成金受給のための計画を練ります。たとえば、キャリアアップ助成金の受給を受けようとする場合、キャリアアップ計画書を作成します。キャリアアップ助成金の対象となるのは、従業員が中長期的に働くことのできる環境を整えて、雇用関係が継続するよう計画的に努力している会社です。助成金を支給する価値があると国に判断してもらうためには、「キャリアアップ計画書」の完成度を高めることが必要です。

キャリアアップ計画書では後々の訓練内容や、その他の申請書類との整合性が重要となります。必要な項目を全て適切に埋められるまで、要綱などを読み込む、全体像を理解しましょう。計画書の提出から申請まで、少なくとも半年以上はかかるので、スケジュールを立てて取り組み、ミスのない書類を準備することが大事です。

就業規則の確認

助成金を受給するための要件として、ほとんどの場合で「就業規則」の整備が求められています。

たとえば、キャリアアップ助成金を受けようとする場合、正社員化コース、処遇改善コースなどにおいては申請に先立って、就業規則内に関連する規定を設ける必要があります。就業規則とは、労働基準法に基づいて、被雇用者の労働時間・賃金・服務規程などの労働条件などを定めた規則を指しています。従業員が10人以上の事業所においては作成ならびに労働基準監督署への届出が義務付けられています。従業員が10名未満の場合は就業規則の作成は義務付けられていませんが、助成金申請時に必要になること、社内のルールを明文化することを目的に、この機会に作成することをおすすめします。

就業規則は、意外とおろそかにされていることが多いです。これまで従業員を雇ったことのないという場合は、特に必要なかったかもしれません。しかし、従業員とのトラブルを未然に防ぐというメリットもあるので、就業規則の作成と見直しを必ず行うようにしましょう。ただし、就業規則は「あればいい」というものではなく、自社の状況にあわせて作成するべきものです。もし、就業規則作成の方法がわからないという場合は、助成金の件と併せて社会保険労務士に相談してみましょう。

助成金の申請書提出から受給までの流れ

たとえば、キャリアアップ助成金の場合、計画書を作成して各種施策を実施し、実際に申請を行うまで1年ほどかかります。おおよその流れは以下のようになります。

(1)キャリアアップ計画の作成

キャリアアップ計画を作成し、正規転換する1ヶ月前までに管轄労働局⻑の確認を受けます。

(2)就業規則に正規転換制度を規定する

労働基準監督署に改訂後の就業規則を届け出ます。さらに、社内に周知します。

(3)正規転換試験や選考を実施する

就業規則等の転換制度に規定に従って試験や選考を行い、正規雇用等への転換・直接雇用を実施します。

(4)労働条件通知書を交付する

雇用契約書や労働条件通知書を対象労働者に交付し、他の正社員と同じ労働条件にすること、転換後の賃金が5%以上増額している必要があります。          

                                                        

(5)賃金を支給する

正規転換後、正社員としての賃金を支給します。申請の際は賃金台帳、出勤簿が必要です。

(6)申請

6ヶ月目の賃金を支給した日から、2ヶ月以内に助成金の申請をします。途中で支給が停止された場合、助成金の受給資格は失われます。

(7)審査

労働局で審査が行われ、書類等に不備がなければ、約4~7ヶ月後、支給が決定されます。

助成金手続きのための社労士活用

助成金手続きは事業主が個人で行うこともできますが、手続きに要する手間を考えると、社労士へ依頼したときのほうがメリットは大きいでしょう。

社労士は、人事・労務管理の専門家です。労働・社会保険に関するさまざまな相談に応じてくれる、経営者にとってとても頼もしい存在です。どのような助成金が受給対象になるのか、申請の要件として何が必要なのかなど、助成金に関するアドバイスを受けることもできます。

特に助成金申請には、労務分野の法律用語や専門用語が頻発しており、人事専任担当者がいるような事業規模であっても、助成金の意味を理解して書類の記入ができる人はあまりいません。また、行政機関へ何度も足を運ぶ必要があり、必要な書類を漏れなく揃える必要があります。よって、助成金の申請手続きをスムーズに進めるためには、社労士へ助成金の申請代行を依頼することを検討してもよいでしょう。

助成金申請から受給までのポイント

助成金は、申請してすぐに取得できるものは少なく、1年から1年半経過後に取得できるものが多いです。助成金を受給する前に資金繰りが悪くなってしまった、という会社も少なくありません。雇用や人材育成を計画通りに行い、滞りなく申請できたとしても、提出した書類にミスがあれば、助成金は受給できません。また、本業に悪影響があっては本末転倒です。

そのようなことを防ぐためにも、助成金申請のような一時的な業務は社労士にまかせたほうが安心といえます。助成金に特化した社労士に依頼すれば、確実性も増すことでしょう。ただし、社労士にまかせた場合、助成金の申請に伴う費用が発生するので、実際の報酬について確認してから正式に依頼するようにしましょう。

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プロのコメント

北島弘太郎 税理士
  • 税理士法人 北島綜合会計事務所
  • 北島弘太郎税理士

厚労省で行っているキャリアアップ助成金の中の『正社員化コース』については、東京労働局管内に雇用保険適用事業所がある方に朗報です。国の他に、東京都からも助成金が受けられる可能性があります。 東京労働局よりキャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給決定を受けた中小企業等の方で各種要件を満たした場合、1人あたり 20万円の助成金を得られます。(上限3人迄) 3年間の指導計画や、メンターの選任など策定しなければいけない 要件もありますが、正社員の定着を考えるのであれば、よい機会なのではないでしょうか… 詳細は、TOKYOはたらくネットにて確認して頂ければ幸いです。

大山敏和 社会保険労務士
  • アクシス社会保険労務士事務所
  • 大山敏和社会保険労務士

記事の通り、助成金の申請に必要な資料の準備と請求のタイミングは、受給するための必要最小限の要件です。さらに、厚生労働省が管轄する助成金の申請先は、主に各都道府県の労働局ですが、高齢者、障害者に関する助成金申請は、高齢・障害・求職者雇用支援機構に行います。また、助成金によっては審査段階で、事業所に係官が出向き、事業主や助成金の対象者にヒアリングを行います。提出書類とヒアリングの受け答えに矛盾が無いようにしなければなりません。

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この記事の監修者

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