契約書作成は取引の基本!起業したなら知っておくべき契約書の種類

企業法務

起業して他社との取引を開始したり人を雇い入れたりするなかで、決して疎かにすべきではないことの1つが、「契約書」の作成です。ここでは、契約書とはどのようなものなのか、起業後に必要となる契約書にはどのようなものがあるのかをご案内します。

契約書とは

「契約書」とは、契約の内容を明確にするために契約の当事者間で作成される書面です。契約書に盛り込まれる主な条項には、

・契約の成立日

・契約が存続する期間

・契約の当事者の表示

・契約の目的

・契約の内容

・契約の対象となる事物

・契約が履行されなかった場合の定め

などがあります。

日本では、契約の際に契約書を作成することは義務ではありません(保証契約など一部例外あり)。契約書のない契約において不都合が生じたときには、一般的に業界の慣習や民法の規定が適用されることとなります。しかし、契約書を作成することで発生するメリットがあるため、取引などを新規に行う場合には、契約書を交わす方がよいでしょう。

《契約書の作成によるメリット》

(1)契約の意思や成立が明確になる

(2)契約を履行するためのマニュアルになる

(3)トラブルや紛争を抑止できる

(4)トラブルや紛争の際の証拠になる

次に、企業後に必要となる契約書にはどのような種類があるのかをみていきましょう。

品物や作業の受発注にかかわる契約書

(1)売買契約書

「売買契約書」とは、物の売買に関する条件を書面にしたものです。

・代金の支払い義務と品物の引渡義務

・目的物・数量・個数

・納期・納入方法・納入場所

・代金の支払い方法、時期

・検査方法、時期

・「所有権」「危険負担(双方に責任がない場合の損失の負担)」の移転時期

・瑕疵担保(かしたんぽ)責任(目的物に欠陥があった場合の対応)

などを盛り込みます。

(2)請負契約書

「請負契約書」とは、主に作業や作業の成果物の受発注に関する条件を書面にしたものです。建設工事や物品の加工、警備や清掃などを受発注する際に作成します。主に盛り込まれるのは以下のような内容です。

・報酬の支払い義務と仕事の完了義務

・報酬の支払方法、時期

・工期

・原材料の負担

・納入方法

・検収方法

・瑕疵担保責任

(3)取引基本契約書

「取引基本契約書」とは、取引を継続的に行う際の基本的な条件を書面にしたものです。

・取引基本契約の適用範囲

・個別契約でつど定める項目

・個別契約の成立方法

などを明記したうえで、条件が一定となる条項をあらかじめ決めておくことで、取引の効率化が計れます。

売り買い以外の業務にかかわる契約書

(1)業務委託契約書

「業務委託契約書」とは、自社の業務を他社や第三者に外注する際の条件を書面にしたものです。依頼の内容などにより契約書の内容はさまざまですが、主に以下のようなことを明記します。

・業務内容、範囲

・業務上の経費の取扱い

・損害賠償

・知的財産権の取扱い

・納期

・検収の方法、期間

・瑕疵担保責任

(2)業務提携契約書

「業務提携契約書」とは、企業間で業務を共同で行う祭の条件を書面にしたものです。

・提携の目的、内容

・提携の方法

・成果の分配、利用の方法

・契約の有効期間

などを盛り込みます。また、業務委託契約書と同じ意味で業務提携契約書の名称が用いられることもあります。

(3)秘密保持契約書

「秘密保持契約書」とは、企業間の取引などにおける情報の取扱いについて書面にしたものです。主に情報の漏洩を防止するために作成され、以下のような内容が盛り込まれます。

・秘密情報の定義や例外

・情報の利用目的、利用者の範囲

・法令にもとづく開示の免責

・情報が漏洩した際の対応

借用・ 雇用にかかわる契約書

(1)金銭消費貸借契約書

「金銭消費貸借契約書」とは、融資やローンなど、金銭の貸し借りに関する条件を書面にしたものです。書面に記される内容は、

・債権者と債務者

・貸借が発生した時期

・貸借の目的

・金額

・返済期日

・返済方法

・利息・遅延損害金

・期限の利益(契約上設定された期限まで債務者が債務を履行しなくていい権利)の喪失事由

(2)オフィス賃貸契約書

「オフィス賃貸契約書」は、起業して事務所を借りる際などに、賃貸借の条件を書面にしたものです。

・貸主と借主

・賃貸借の開始日、期間

・賃料

・滞納の際の措置

・解約の条件

・敷金・保証金

・原状回復(借りたときの状態に戻す)義務

などについて定めておきます。

(3)雇用契約書

「雇用契約書」とは、使用者と労働者の間で労働条件を書面化したものです。以下のような内容を記載しますが、契約書を作成せず、就業規則を設定することで対応することもあります。

・契約期間

・就業場所

・業務内容

・勤務時間

・残業の有無

・休憩時間、休日・休暇、シフト

・賃金の計算方法、締日、支払い時期、支払い方法

・昇給

・退職、解雇

個別の契約に沿った内容で契約書の作成を

起業をすると、業務上の取引や、事業を営むための環境を整えるために必要な、さまざまな契約が発生します。

ご紹介したように、契約の目的や内容によって作成するべき契約書が異なるのは当然のこと。さらに、個別の案件に応じて条項を定め、当事者間の齟齬や一方的な不利益を生じさせない配慮が必要です。

過不足のない契約書の作成は、当事者だけでは難しい場合もあるもの。必要に応じて、契約書の作成や内容のチェックを、行政書士などの信頼できる専門家に依頼するのもおすすめです。

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この記事の監修者

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プロのコメント

片岡弘明 行政書士
  • 片岡行政書士法務事務所
  • 片岡弘明行政書士

 起業後、自前では契約書が準備できないから、あるいはこの業界では新参者だからといって先方の提示する契約書に二つ返事で署名捺印するようなことをしてはいけません。なぜなら、契約書は作成者にとって有利になるような条項が含まれていること多々あるからです。商談そのものはWIN-WINの関係で進んだとしても、契約書にそのことが反映されているとは限りません。また、商談によって当事者間の契約内容全て決せられるわけではなく、細かな部分は契約書面をもって規程されることもあります。損失を被らないために自社にとって不利な条項はないか細かくチェックする必要があります。  さらに、契約トラブルを回避し、ビジネスを発展させるためには、常に自社が先んじて契約書を提示するというスタンスを持ち交渉のイニシアティブを握ることが肝心です。自社のビジネスシーンで想定される契約書のひな形は全て起業後早い段階で備え置きましょう。   但し、自社のビジネスに即した契約書を作成するのは多大な労力が伴うだけでなく専門的知識も要求されます。自社の力だけで契約書作成しようというのは絶対におすすめしません。専門家の力を借りましょう。  当事務所では、一部上場企業において契約書作成の実績を十分に積んだ行政書士が御社のビジネスの発展に寄する契約書を作成いたします。また、本文中の契約書以外にも、利用規約、約款、顧客向け申込書、英文契約書、覚書等業務において不可欠な文書の作成も承っております。ぜひご相談ください。初回ご相談は無料としております。  

佐藤譲 税理士
  • 佐藤譲税理士事務所
  • 佐藤譲税理士

契約書は書式が自由である反面、信義則を全うすることが追及されています。が、税務面から読み込むとそのように読むことが(理解することが)できない文章があるのも事実です。 「税務」は常識です。常識とは誰もが「そう思うもの」と考えがちですが、正しい理解の上には正しい表現方法があるということを忘れてはいけません。表記方法一つでどちらとも取れる表現は絶対に避けてください。 「税務調査」で、例えば経費の否認や発生時期の計上間違いなどを探し当てられたらたまりませんよ。 それと、金額のある契約書等には、印紙税の納付(貼付)が必要ですからお忘れなく。

大藏浩幸 税理士
  • 大藏浩幸税理士事務所
  • 大藏浩幸税理士

契約書については税務調査でも査閲されます その時は印紙の問題が指摘されます ただ単に契約書といえども印紙税の対象か否かは判断がむつかしい あなたの頼れるパートナー税理士大藏です

秋山倫一 行政書士
  • 行政書士事務所秋山法務店
  • 秋山倫一行政書士

 ビジネスを展開してゆく中、様々な場面で契約する機会で生じます。  今回、契約の必要性、重要性について私見を述べます。  世間一般では、「後日の紛争の際、有力な証拠となる」といった認識が多数か思います。要するに、相手方が何かしでかしたときの対抗手段、証拠といったところでしょうか。更に言えば、相手が信用できないから契約書で縛っておくという。  当職においては、相手が信用できるから契約するのであって、信用できない相手とはいかなる契約もすべきでないと考えます(契約締結自由の原則)。  二当事者が、新たにビジネスを開始する際、互いの業務範囲=責任範囲、費用負担、不可抗力の処理、損害賠償の手段・方法(保険等)、当該ビジネスに起点~終点まで網羅する内容を詳らかにして確認、合意する、両当事者にとって業務遂行上のマニュアルになるべきが契約と考えます。  契約締結において重要なことは、勿論文面上の各条項の法的適合性が第一にありますが、逐一記載された条項の内容が実際に履行できるか否かが大切です(契約は守らなければならないという原則)。その意味で市販のひな形はまず使い物にならないということを特筆しておきます。一旦締結した契約を後日「事情の変更」と称して変更を繰り返していては全く無意味です。  そこで、相手方から提示された契約書においても、こちら側から起案提出した契約書いずれにおいても、十分な合議により合意すべき内容にモディファイするプロセスが重要です。  銀行取引や旅客輸送取引約款やら、締結するか否かの選択肢しかない契約も存在しますが、二当事者において商売上のものであれば、お互いを当該プロジェクトのパートナーとして、win-winで完結する契約に仕立て上げることが最重要です。    

磯野真 弁護士
  • 大阪北摂法律事務所
  • 磯野真弁護士

法的トラブルをふせぐための契約書の作成とチェック,トラブルが起こった後の対応は弁護士としての重要な職務です。 契約書が無いからといって諦めるべきかどうかは,まずは相談して下さい。業界によっては,正式な契約書があまり交わされていないケースが見受けられます。 多くの契約は,諾成主義といって合意だけで成立します。合意が成立することを証明することは困難な場合が多いですが,それでも諦めるには早い場合が少なくありません。 もちろん,契約書は作成しておくにこしたことはありません。

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