スタッフから未払いの残業代を請求されたらどうする?

労働問題

事業を行っていてスタッフを雇用している場合、残業代を請求されることがあります。残業代について取り決めをしておらず、残業代は払わなくて良いと思っている方も多いと思いますが、請求を放置しておくとトラブルになり裁判になってしまう場合もあります。今回は、従業員から残業代を請求された場合の正しい対処方法を解説します。

労働基準法による残業代の計算

雇用している従業員から残業代を請求された場合に、残業代を支払わなければならないのかを検討するにあたって、まずは残業代とは何かについて解説します。残業代は雇用契約や就業規則で取り決めがなくても、労働基準法によって定められていますので、労働基準法違反にならないように計算する必要があります。

一口に残業代といっても、残業には2つの種類があり計算方法が違います。法定労働時間内、つまり1日の労働時間が8時間以内の残業であれば、働いた時間の分の給料を払うことになります。しかし、1日の労働時間が8時間を超えた場合には、超えた時間が時間外労働となります。8時間を超える残業については、普通賃金の25%増しで支払う必要があります。週1日の法定休日に働かせた場合は35%増しで支払うこととなります。月給制の場合は、基本賃金から1時間あたりの時給を計算し、この時給をもとに残業代を計算することになります。

残業代を請求された場合に気をつけること

雇用しているスタッフや退職した元スタッフから残業代を請求された場合に一番してはならないことは、残業代の請求を無視することです。残業代を請求してきた場合には、残業代についてある程度の法律知識をもとに請求している場合がほとんどです。弁護士に相談したうえで請求をしてきている場合もあります。残業代の請求を無視すると、法律トラブルに発展してしまう可能性が高いのです。

残業代を請求された場合には、まずは相手の言い分をきちんと聞くことが大切です。相手が残業の事実に基づいた請求をしてきているのかどうかの確認をする必要もあります。事実を確認できるだけの資料を収集して、労働問題に強い弁護士にアドバイスを求めることをおすすめします。弁護士に依頼することで正しい残業代を計算してくれますし、法律に基づいた対処をしている姿勢を見せることでスムーズな解決につながります。

残業代を請求された場合に予想されるトラブル

残業代を請求される場合で多いのが、経営者の残業代についての認識が甘いケースです。中小企業や個人事業の経営者の中には、スタッフが残業をすることは当たり前で、残業代を支払う必要はないと考える人もたくさんいます。しかし近年では、労働者の意識が高まり、情報や知識が入手しやすくなっているうえに、弁護士や裁判所の利用もしやすくなっています。経営者にとっては、残業代を請求されるリスクが高くなっているといえます。

残業代を請求されてトラブルが悪化すると、労働審判になる可能性があります。残業代を支払わないという評判は広がることで、社会的信用も失ってしまいます。また、労働審判や訴訟などの裁判になってしまうと、法律に基づいた残業代の支払いが求められ、労働者側が勝つ可能性が高くなります。残業代の未払いは累積すると何百万にもなってしまうこともあり、事業の資金繰りにも影響してきてしまいます。しかも、訴訟では残業代と同額の付加金を課される可能性があり、支払額が倍額になってしまうこともあります。中には、数人のスタッフから残業代を請求されたために経営状態が悪化してしまうケースもあります。

残業代を請求されたらすべきこと

残業代を請求されたら、まず誠実に話し合いを行う姿勢をみせるとともに、弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。どれだけの残業をしたのかの事実確認や、請求が事実に基づいているかどうかを調査します。事実と法律に基づいた残業代の請求であれば、残業代の支払いもやむを得ないと考えます。ただし、経営状態への影響を少なくするために、消滅時効が完成していないかどうか、残業を禁止していたかどうか、労働時間を正確に記録しているかどうかなどのチェックをすべきです。

残業代の支払いについてのトラブルがあると、他のスタッフへの影響も心配です。大きな法律トラブルになる前に早期解決を目指し、今後のトラブルを避けるためにも就業規則や雇用契約書の見直し、就業時間の管理、労働環境の改善に取り組んでいかなければなりません。事前の準備なく請求された残業代を減らすことは難しいですが、今後、残業代を請求されないよう就業規則や雇用契約書の見直し、就業時間の管理をしていくことは可能です。

残業代を請求された場合の対応方法

残業代を請求された場合には、経営者が残業代についての認識が甘く、今まで残業代の支払いがなされていないケースでは、裁判になると労働者が勝つことがほとんどです。残業代の請求をされたら緊急事態だと認識し、誠実に話し合いに応じる姿勢をみせ、弁護士に相談することをおすすめします。残業代を請求しているスタッフ以外のスタッフにも残業代が支払われていないケースが多く、ほかの従業員への影響も心配です。早急に就業規則を見直し労働環境の改善へ向けての対策をとっていくことで、将来の残業代トラブルを回避していくようにすることが大切です。事前の準備なく請求された残業代を減らすことは難しいですが、今後、残業代を請求されないよう就業規則や雇用契約書の見直し、就業時間の管理をしていくことは可能です。そのためには弁護士に相談しながら対策を取っていく必要があります。

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プロのコメント

吉川直樹 社会保険労務士
  • 吉川経営労務商会
  • 吉川直樹社会保険労務士

 残業代請求は弁護士の内容証明から始まるケース、労働者の監督署へのタレコミから始まるケース、いろいろです。しかし、基本的には未払い残業代をゼロにしたり、固定的残業代だ、年俸制だと屁理屈をこねると、天にツバすることになります。固定的残業代でも正規の割増賃金との差額の支払い請求をされますし、年俸制だとダダをこねれば、じゃあ年俸制の賃金規定をもってこい、となります。あくまで払わない企業には最悪刑事告発が待っています。    1人分2年間で済むのか、全員の分を支払うハメに陥るのか。監督署の指導の場合で、顧問の社労士が適切に対応する場合(これはそもそも少ないと思いますが)は、比較的温和な処分で済むこともありますので、普段からそのような法的対応もできる顧問社労士へのシフトがよいでしょう。     申立人(原告)側に弁護士が入る場合は(労働者側にとって着手金が資金的なネックとなり)少ないでしょうが、まれに訴訟に発展する可能性があり、その場合は企業の被る痛手は経済的なものにとどまりません。    できれば労働局、労働委員会のあっせん、労働審判等簡易な制度の利用が望ましいでしょう。企業側が原告となって、債務不存在確認の訴えを起こすのは勇み足と解釈されがちなので、労働者側が訴えを提起してきたのを待ち、速やかに迎撃するしかありません。  ただし、一般にこれらの機関は左にバイアスがかかっており、労働者寄りであることは覚悟すべきでしょう。  原告側が業務日報、日記、メモ、録音等客観的証拠資料をもっている場合は、被告に勝ち目はありませんので、和解に持ち込むのがよいでしょう。      

熊谷知直 社会保険労務士
  • 熊谷綜合労務事務所
  • 熊谷知直社会保険労務士

この記事にあるように残業に対する認識の甘さから請求されたのなら、ある程度支払うことは仕方ないと思います。しかし反論できる部分があるのならしっかり反論していかなければなりません。 たとえば管理監督者であることを本人も認識し客観的に見ても蓋然性が高いにも関わらず残業代を請求された場合、固定残業手当で吸収されるよう雇用契約書等で整備していたにも関わらず請求された場合、本人の指摘してきた労働時間が事実と異なる場合など。 反論の仕方として書面でやり取りすることでも良いですが、労働ADR(あっせん)を使うと迅速に解決が図れます。あっせんというと労働者から申立てるイメージが強いですが、会社側から申立てることも出来ます。残業代請求の書面が届いた時点で、会社から労働者に対してあっせんを申立てるというやり方です。 あっせんは特定社労士が代理人を務めることが出来ます。放置しているとこの記事にあるように裁判を起こされる可能性もありますので、すぐに労働トラブルの経験が豊富な特定社労士に相談されることをお勧めします。

原論 社会保険労務士
  • 原労務安全衛生管理コンサルタント事務所
  • 原論社会保険労務士

記事には弁護士のアドバイスが連呼されていますが、一般の中小企業において弁護士に依頼すること自体、敷居が高いかと思われます。 まず必要なことは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第2条にあるように、 【個別労働関係紛争が生じたときは、当該個別労働関係紛争の当事者は、早期に、かつ、誠意をもって、自主的な解決を図るように努めなければならない。】 ということにつきます。 まず、相手に対して早急に解決する意思があることを明確に示しておく必要があります。 そうしないと、最終的に支援団体や労組、法律事務所など他の機関へと相談し、記事のように弁護士に依頼せざるを得ないこともあり得ます。 あくまでも、誠意を持って解決を図るということが重要なのです。 争い事が表に出てしまうと、大きなダメージを受けることが多々あります。 世の中で、ブラック企業という烙印を押された実例などご覧いただければお分かりかと思います。 そうなる前に、自主的な解決を図ることが大切です。 そして、何より、問題が起きないようにする為、常日頃からの労働条件の整備が必須なのです。   労働条件整備のご相談は、当事務所まで。 http://www.roumuanzeneisei.jp

塩見恭平 弁護士
  • はちかづき法律事務所
  • 塩見恭平弁護士

正当な請求であれば,支払う。 不当な請求であれば,不当な点を指摘し,突っぱねる。 それにつきます。 なお,正当・不当の判断につきましては,個別事例(時効にかかっている期間の有無・給与支払い基準・証拠の有無)によりますので,請求を受けた場合はすぐにご相談なさるのがよいかと思料致します。

飯島茂 社会保険労務士
  • 飯島社会保険労務士 茨城オフィス
  • 飯島茂社会保険労務士

まず認識していただきたいことは、未払い残業代を請求された段階で、初めて対策をとった事業主には厳しい現実が突きつけられるという事です。 ご存知ですか?「現在、働いている会社に請求するのはちょっと・・・」と思う人が、退職した後で請求、又は退職と同時に請求するということが増えています。場合によっては、会社の経営を揺るがす重大な問題に発展する危険性もあります。未払い残業代でのトラブルを事前に回避し将来起こりうる問題を未然に防ぐ対策をとることが重要です。

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この記事の監修者

【20年以上の豊富な経験と知識! そのお悩みに充実のサービスとサポートを】 弁護士もサービス業の1つと考え、 当たり前のことではありますが、ご依頼者様に簡潔にわかりや...