個人事業主が知っておくべき法人成りのタイミングとメリット

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節税対策

個人事業主としての売上金額が大きくなってくると所得税の負担が重くなってきます。法人成りすると、法人税を負担することになりますが、所得金額によっては、所得税より法人税のほうが低くなります。個人事業主が法人成りするタイミングとメリットについて解説します。

所得税と法人税の違い

所得税は個人の所得に対してかかる税金です。所得とは収入から経費を差し引きした金額になります。所得税は、所得の金額が増えるにつれて、税率も引き上がるという累進課税制度を採用しています。所得税は最高税率が45%ですが、法人税は基本税率が23.4%となっています。

よって、所得金額により、法人税のほうが所得税より負担が低くなり、社長1人でも、法人化にしたほうがよい場合もあります。ただし、所得金額は個人でも法人でも、売上と経費の金額により変動します。

したがって、法人化のタイミングを誤ると、所得税より法人税の負担が重くなるケースもあります。売上と経費の金額、資本金の金額などの総合的な要素から所得税と法人税のどちらを納付するほうが有利であるかを判断するべきでしょう。

法人成りの適正なタイミング

法人成りの適正なタイミングの基準としては、売上の基準があります。

具体的には、売上の金額が1,000万円(12か月の場合の基準期間)を超えたら、法人成りを検討してもよいでしょう。なぜなら、売上の金額が1,000万円を超えると、消費税の納税義務が発生し、2年後には消費税を納めなければならないためです。消費税の申告および納税期限は個人事業者の場合、翌年3月31日(口座振替者は納付期限4月)までとなっています。この期限は所得税の3月15日までの期限と同じ時期であり、3月に納税資金が集中して発生します。法人の場合は、決算月は自社で決定することができ、確定決算に基づき、決算日の2か月後が法人税と消費税の申告および納税期限となります。事前に経費を工夫することで法人税を節税できれば、消費税の負担だけで済むようになります。

消費税は利益とは関係なく発生する税金なので、売上の金額が1,000万円を超えた場合、個人事業者でも法人でも負担は、あまり変わらないのです。

また、所得金額が500万円を超えた場合も法人成りするタイミングであるといえます。所得は利益と同等のもので、儲けと考えてよいでしょう。

法人成りのメリット

法人成りのメリットは社長でも会社から給与(役員報酬)を受け取る形にできることです。

給与を貰うということは、給与所得を社長が得ることになります。給与所得には給与所得控除という最大のメリットがあります。つまり、社長自身の所得税が節税になるということです。例えば、個人事業者で事業所得600万円の場合、600万円の所得に対して、所得税が課せられます。しかし、法人化して、社長に500万円の給与を支払う形にすれば、法人の所得は600万円-500万=100万円となり、この所得に対して、法人税が課税されます。一方で社長の給与所得は給与収入500万円-154万円=356万円となり、この給与所得に対して、所得税が課税されます。この所得の分散は様々な要素を考慮する必要があるので、税理士などの専門家に相談するべきでしょう。

また、法人化することのメリットは節税面だけでなく、対外的な信用の拡大もあります。結果的には、取引先が拡大し、売上の増大につながる効果があるでしょう。

個人事業者でも仕事をしっかり行っている人は多いですが、取引の安定化を図るには、会社にしたほうがよいといえます。

法人成りのデメリット

法人成りすることで、税金を節税できるメリットがありますが、手続き面でデメリットもあります。

まずは、会社を設立する手続きと費用がかかることです。個人事業者の場合は、税務署(必須)と都道府県(市町村も含め提出不要の場合もあります)に開業届を提出するのみです。一方で、会社を設立するには、定款を作成して、法務局に提出しなければなりません。そのための手続きを司法書士などの専門家に依頼するため、費用もかかります。

また、法人の場合、従業員の数に限らず社会保険に加入する義務が発生します。この手続きも面倒です。特に会社の場合、従業員と会社の双方で、社会保険を負担することになり、結果的に人件費の負担の増加となります。

さらに、法人税を納付しますが、赤字で所得金額がゼロの場合は、法人税の負担はゼロとなります。しかし、法人住民税は所得の金額に限らず、必ず、どんなに規模の小さい会社でも約7万円(均等割額)は納付しなければなりません。

このように法人化する場合は、事務手続きと法人税対策が必要となるので、経理業務は税理士へ、労務業務は社会保険労務士へ任せることも検討するべきでしょう。

法人成りする時の注意点と対策とは

法人成りは、すべての事業者に対して必要なものではありません。売上金額が大きくなって、利益が出るようになった場合等に検討するべきでしょう。そして、法人成りする場合は司法書士、行政書士、社会保険労務士、税理士などの専門家へ依頼することも検討するべきでしょう。

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この記事の監修者

【中小企業から宗教法人、スポーツ選手まで 海外進出のサポートも充実!】 みなさんこんにちは。代表の今野真輔(こんの しんすけ)です。 税理士として開業したきっかけは、税...

プロのコメント

久川秀則 税理士
  • 原・久川会計事務所(税理士法人)平塚橋事務所
  • 久川秀則税理士

法人設立を活用するメリットは大変多岐にわたります。 賃貸不動産を建設して不動産賃貸業を行う場合にも、建物を建てて賃貸事業をする会社を設立することで、例えばいろいろな経費が計上しやすくもなり、生命保険も個人の場合と異なり、かなりの金額まで経費にできます。つまり法人税がかかる利益を減らしながら、保障を整えることができます。保険の活用については、一言で言えないほどのバリエーションがあり、様々なメリットが得られます。もう1点、建物の子女へ渡す際に、持分の登記をする必要なく、株を渡すだけでよい、ということがあります。生前贈与しやすいということです。ぜひ、法人設立を検討してみることをお勧めいたします。

西濱絢 税理士
  • 西濱絢公認会計士・税理士事務所
  • 西濱絢税理士

法人なりのタイミングについての相談は当事務所にも多く寄せられています。 ここにもあるように、一つの目安は、売上1,000万円、所得500万円といえるでしょう。 あくまで目安であり、超えたからすぐに法人なりではなく、経営者様がどのようなビジネス展開をしていきたいかがポイントとなりますし、事業内容によっても異なります。 上記の目安を超えた場合は、一度税理士に相談するとよいでしょう。

大藏浩幸 税理士
  • 大藏浩幸税理士事務所
  • 大藏浩幸税理士

個人事業主にとっては法人なりはやはり悩みの種 しかし個人で3000万円以上の売り上げだとそろそろ? また決算期を何時にするかも消費税の特定期間の問題も絡みますので是非とも税理士へご相談ください!税理士はあなたの頼れるパートナー

荻原正樹 司法書士
  • 司法書士おぎわら相続登記事務所秋田
  • 荻原正樹司法書士

法人にするとして、株式会社にするのか、合同会社などの他の会社にするのか。目的はどうするのか等、設立登記によって法人が活動を開始するまでに決めなければいけないことは少なくありません。 当事務所にご相談いただければ、おおよそのイメージをお聞きした上で、ご一緒に細かな内容を決めてまいります。 税務については税理士の先生に、会社設立登記については司法書士にご相談ください。

藤原寿美 税理士
  • 藤原税理士事務所
  • 藤原寿美税理士

法人成りを考える際に、一番押さえておかなければいけないのは メリットではなく、デメリットの方です。 中でも社会保険料の会社負担の金額について検討しておかないと、 安易に消費税のことだけを考えて法人成りをすると、痛い目に あうこともありますので。

伊藤しほ子 税理士

法人成りするかどうかは、事業の内容により検討する点が多くありますが、やはり、売上が1000万円を超えたときには、消費税の納税の影響が大きいので、1度検討されることをお勧めします。 基本的に消費税の納税義務は、前々期の売上で判定するので、免税期間を十分に生かし、最適のタイミングで法人成りができるよう、十分な準備をするために、お早めに税理士にご相談ください。

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