外国人従業員を雇用した場合に社会保険への加入は必要か?

外国人労働者を雇用する機会が増えてきています。外国人労働者を雇用する場合、社会保険などの手続きはどうすればいいのかわからないと頭を悩ませやすいです。外国人労働者の社会保険加入について解説します。

そもそも社会保険の加入要件とは?

そもそも社会保険というのは、健康保険や厚生年金保険のことを言います。もっと範囲を広くしていくと労災保険や雇用保険といった労働保険についても、社会保険の適用範囲であるともいえますが、ここでは狭義の社会保険で話を進めていきたいと思います。個人事業主の場合、必ずしも社会保険に加入する必要はありません。雇用している従業員が5人未満である場合、社会保険の加入は任意加入であるため、外国人を雇用したとしても、何も心配することはありません。ただし、従業員が5人以上になると、社会保険制度へ強制加入となります。もし、途中で個人事業から法人事業へ格上げした場合、法人として加入するため、従業員がいなくても強制加入の対象となりますので気をつけなければなりません。ちなみに、社会保険の中の健康保険、厚生年金保険の片方だけ加入というのは認められておらず、同時加入が必要となります。

原則日本人と外国人に加入要件の違いはない

事業所として社会保険に加入している場合、従業員が外国人であろうと日本人であろうと基本的には、取扱いに違いはありません。原則的に、日本で現地採用をした場合は、外国人でも社会保険へ加入する義務が生じます。一部の例外があるものの、外国人労働者を社会保険へ加入させない場合は、法律違反となりますので十分に気をつけるようにしましょう。

外国人従業員の加入要件としては、日本人従業員と同じ次の要件に当てはめることができます。

・常時使用される正社員の場合

・アルバイトやパート労働者であっても、1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が正社員の4分の3以上の場合

正社員でない場合であっても、労働時間や労働日数が正社員と同等であると判断されるのであれば、社会保険への加入義務が生じます。もし、加入させたくない場合は、義務が発生しない範囲で労働させる必要があります。

ただし、入管法により、原則として「定住者」、「永住者」、「日本人の配偶者」等の身分に基づいて在留する場合以外は、外国人を単純労働させることはできません。「留学」等の在留資格により「資格外活動の許可」を受けてアルバイト等をさせる場合、1週に28時間以内で働かせるということが必要になります。知らないで働かせていた場合や、他の会社でダブルワークをしていて労働時間を管理していなかった場合は、不法就労となる可能性があるので注意が必要です。

日本人と同様に被扶養者に入れることができる

外国人が社会保険に加入することで、一般的な日本人従業員と同じ待遇で社会保障を受けることができます。健康保険に加入していることで、従業員本人がけがや病気になった時に同じ保障を受けることが可能です。また、外国人従業員が、母国に家族がいる場合、たとえ海外に住んでいる従業員の家族であっても、自分の健康保険の被扶養者に入れて、健康保険の給付を受けることもできるようになります。

被扶養者として入れることができる家族は次の通りです。

・直系の親、祖父母等

・配偶者

・子

・孫

・兄弟姉妹 など

上記の方が、60歳未満の場合は年収が130万円未満、60歳以上または障害者の場合は年収が180万円未満で、かつ「年収が被保険者からの援助額よりも少ない」ことが必要です。

ただし、外国人労働者が社会保険の資格を取得する際、母国に被扶養者がいる場合、その手続きは複雑なものになります。被扶養者である証明(例えば、婚姻の事実、生計同一・維持、所得証明等)を取るときに、定まった証明方法がない国もあるため、頻繁に現地とやり取りをしなければならない場合もあります。

そのやり取りは、外国人労働者本人とその外国人労働者を雇う会社が行わなければなりません。さらに、そのやり取りした情報を基に、日本の役所への確認作業も発生します。日本人を雇った場合とは、手続き方法が異なりますので、スムーズに雇い入れるためにも、専門家の社会保険労務士に相談しながら進めるようにしましょう。

なお、外国にいる家族が、病院での治療や薬局で調剤を受けて家族療養費等を受ける場合は、現地の保険制度を使わず、一旦、病院や薬局で全額自己負担をする必要があります。その領収書とレセプトと翻訳文を付けて、日本にいる被保険者が保険者に請求するという流れになるのでご注意ください。

厚生年金の適用免除とは

原則的に、外国人従業員であっても社会保険に加入する必要があります。しかし、例外的に厚生年金に加入する必要がない外国人従業員のケースもあります。日本は、いくつかの主要諸外国と年金に関しての社会保障協定を結んでいます。そのため、日本での滞在が5年以内の外国人従業員の場合、日本の厚生年金ではなく現地の保障制度を選択することができます。ただし、あくまでも例外的な処置となります。協定している国の事業所などから、派遣される場合に限られています。そのため、日本で採用した場合は、この協定の対象外となってしまい、適用することができません。その場合は、通常通り厚生年金保険の加入が必要となります。個人事業主の場合は、ほとんどこれに当てはまらないケースが多いため、知識として知っておくようにしましょう。

脱退一時金とは

外国人従業員の中には、数年後には帰国するため厚生年金の保険料は支払損であると考えて、加入を嫌がるケースも多いです。しかし、日本の年金制度では、そのような外国人従業員のために脱退一時金という制度を設けています。

次の4つの要件に全て当てはまる場合は、適用することができます。

・日本国籍ではない

・国民年金の1号被保険者や厚生年金保険の被保険者として6か月以上の納付記録がある

・日本に住所を持っていない

・障害手当金を含む年金の権利を有していない

被保険者である期間によって、脱退一時金は次のように計算されます。

被保険者期間/支給額

6か月以上12か月未満/平均標準報酬額×(10月の保険料率÷2×6)

12か月以上18か月未満/平均標準報酬額×(10月の保険料率÷2×12)

18か月以上24か月未満/平均標準報酬額×(10月の保険料率÷2×18)

24か月以上30か月未満/平均標準報酬額×(10月の保険料率÷2×24)

30か月以上36か月未満/平均標準報酬額×(10月の保険料率÷2×30)

36か月以上/平均標準報酬額×(10月の保険料率÷2×36)

※1 小数点第1位未満は四捨五入

※2 上記「10月の保険料率」は、最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月(以下、最終月)の属する年の前年の10月の保険料率になります。(最終月が1~8月の場合は、前々年の10月の保険料率を使います。)

※3 前年の保険料率は「18.182%」、前々年の保険料率は「17.828%」です。

外国人従業員の加入を怠らないようにしよう

個人事業主の場合、原則として外国人従業員であっても社会保険の適用対象となります。もし、自分の事業所が社会保険に加入している場合、忘れないように手続きをするようにしましょう。外国人従業員が嫌がる場合は、メリットなども説明をして納得させる必要があります。

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川西孝昭 行政書士
  • 川西行政書士事務所
  • 川西孝昭行政書士

在日外国人を雇用する場合、在留資格(通称「ビザ」)の有効性の確認が必要です。また、留学のビザで日本に在留中の留学生が、アルバイトを希望することも多々ありますが、その際には「資格外活動許可」を得ている必要があります。 外国人雇用については、入管法の知識も必要となりますので、外国人雇用でお困りになった際には、入管業務を取り扱う行政書士等へのご相談をお勧めいたします。

萩原伸一 行政書士
  • 萩原行政書士事務所
  • 萩原伸一行政書士

在日外国人の雇用について、まずは在留カードの資格と有効期間の確認から。 通称「ビザ」という言葉には、「査証」と「在留資格」の二つの意味が含まれます。 日本に入国するまでは「査証」が、入国後は「在留資格」の確認がポイントとなります。 パスポートだけのチェックでは不安が残ります。 次に、就労可能な資格であっても雇用先についての届出を必要とする場合(例:「高度専門職」「研究」「技術・人文知識・国際業務」「興行」「技能」)もあります。 外国人雇用は入管局への申請取次資格を有する行政書士(ピンクカード所持者)等へご相談なさることをお勧めします。

立木宏行 行政書士
  • 立木法務事務所
  • 立木宏行行政書士

外国人の方を雇用する際には、必ず在留カードをご確認ください。 留学生が専門学校や、大学・短大などを卒業して就職する場合は、留学ビザから就労ビザへの変更が必要となります。 留学生以外の方を雇用される場合は、在留カードに記載の内容が、『永住者』『定住者』『日本人の配偶者等』の記載があれば、業種・職種に関係なく雇用することは可能です。 しかし、『技術・人文知識・国際業務』とあれば、前に勤めていた業務内容を確認しておかないと、次回の在留カードの更新時に不許可となるケースも多々あります。 ご不安な場合は外国人業務専門の行政書士にご相談なさることをお奨めします。

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この記事の監修者

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