今さら聞けない!「公正証書遺言」とはどういうもの?

遺言・遺産相続

ドラマなどでは良く目にする遺言ですが、身近な例となると意外と知識がありません。民法では法定相続により規定されていますが、遺言が必要なるのはどのようなケースなのでしょうか。また遺言として認められるものには、どのような種類があるのでしょう。ここでは公正証書遺言を作成する必要性や実際に作成する際の手順、時期などについて紹介していきます。

そもそも遺言とはどのようなものなのか

遺言とは字面で考えれば亡くなった人が「言い残したことば」ということになりますが、法的効力があるのは書面のみです。例え自分の全財産を誰かに譲るといった音声データが残されていても、法の現場では正式な遺言とは認められません。

文書としての遺言の種類には、自筆遺言と公正証書遺言の2つがあります。自筆遺言はすべての文字が自筆である必要があり、パソコンなどで作成されたものは自筆のサインや押印があっても無効となります。また自筆遺言の場合には、開封前に家庭裁判所で「検認」の手続きを行う必要があります。

公正証書遺言は遺言を残す本人が、公証人役場に出向き公証人が文章に起こして作成します。公的に認められた方式で要件の不足なく作成されるため、後で無効になるようなことはありません。解釈の違いによるトラブルも回避できます。作成後は原本が公証人役場に保管されるため、紛失の心配もなく、偽造は不可能です。

公正証書遺言が必要となるケース

遺言がなくても、相続人全員の話し合いで、遺産分割や相続の手続きを進めることができます。しかし、相続人の人数が多い、または仲があまり良くない者同士の話し合いとなると、まとまるものもまとまらない、話し合いにすら応じない、そんな状況になることも想定できます。

公正証書遺言を作っておくことにより、遺産の分け方も指定しておくことができるため、相続人同士の争いを回避できる可能性も高まります。例えば子どもがおらず両親も死去していて、自分が亡くなった際にはすべてを配偶者に相続させたいと願う場合に、公正証書遺言により法的威力の強い遺言ができます。

同様に複数回の婚姻の経歴があり、相続人が多い場合や、婚姻届けを出していない内縁関係の夫婦である場合にも、公正証書遺言の作成はトラブル回避に役立ちます。

良くある例としては、夫がすでに亡くなった後に夫の両親の面倒を見ている嫁に対する遺産相続です。この場合、嫁には相続権利がないため、遺言でその旨を表明する必要があります。その他、相続人ごとに財産を指定する場合や、相続人がおらず相続権のない他人に財産を譲渡したいなどの場合にも、公正証書遺言を作成しておけば面倒がありません。

公正証書遺言作成の手続き方法

公正証書遺言の作成にあたって必要となる書類には、次のようなものが挙げられます。

・印鑑登録証明書 

・遺遺言者と相続人との続柄が証明される戸籍謄本

・土地・建物の登記簿謄本・固定資産評価証明書

・不動産以外の財産について記載したメモ

また、相続人以外の人物へ遺贈する場合には、相手の氏名や住所、生年月日が記された住民票などが必要となります。

公証人役場で公正証書遺言を作成するにあたっては、未成年者と相続関係者以外で2名の証人に立ち会ってもらう必要があります。

公正証書遺言は作成後に一部修正や、再度の作成が可能です。遺言作成の時期に決まった年齢はありませんが、人によっては人生の節目に作成し、修正を加えている場合もあります。

公正証書遺言作成の際の注意点

公正証書遺言は公証人に作成してもらいますが、遺言の内容は自分で起案しなければなりません。法的に有効な言い回しや形式は公証人に任せることができ、助言ももらえますが、基本となる部分を考えずに公証人役場に出向いても時間のムダになります。遺言作成に際しては十分に吟味し、相続問題の回避を意識する必要があります。

公証人役場に公正証書遺言の作成を申し込む際には、日程と手数料を確認しておきましょう。日本公証人連合会によって公表されている手数料は次の通りです。

・1,000万円まで  17,000円

・3,000万円まで  23,000円

・5,000万円まで  29,000円

・1億円まで    43,000円

遺産の総額が1億円以下の場合は、上記金額に1万1000円の手数料が追加されます(遺言加算)。

また、相続する人(遺贈を受ける人)がそれぞれ受け取る額に対して手数料が発生するので注意が必要です。例えば、遺産総額が4,000万円でAさんとBさんで分けた場合は、手数料29,000円とはなりません。遺産総額4,000万円を、Aさんに1,000万円、Bさんに3,000万円という分け方をした場合、17,000円+23,000円=40,000円となります。

公正証書遺言を作成する際に遺言執行者を指定しておくことで、死去後、遺言内容の執行がスムーズに行われます。遺言執行者には同行している証人や、相続関係者を指定することもできます。遺言執行者を指定する場合には、その人物の住所、氏名、生年月日、職業のメモ書きが必要です。

信頼性の高い遺言を作成するために

ドラマでは金庫から発見した自筆遺言をその場で開くシーンが見られますが、実際にはそうした行為は制裁の対象となります。公正証書遺言は自筆遺言よりも法的効力が強く、信頼性があります。公正証書遺言を作成することで、遺言作成の時期や、偽造などの疑念が発生することもなく、故人の正しい意志が尊重されます。また内容の不備による、遺言の無効といった事態も避けられます。書類集めや手続きに手間がかかりますが、専門家に相談して代行してもらえば、前後の面倒もありません。後世に憂いを残さないためには、正式な手続きによる遺言作成が最善の手段といえます。

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この記事の監修者

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プロのコメント

片岡弘明 行政書士
  • 片岡行政書士法務事務所
  • 片岡弘明行政書士

公正証書遺言は相続人の関係が複雑な場合や、遺言者の意志が明確な場合は大変有効な手段です。しかしながら、予定している遺言の内容で、相続人間の利害を適切に調整できているか、遺言の内容どおり確実に意志が実現されるのか、今一度専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。例えば、遺言に遺産のすべてを特定の相続人1名に相続する旨を記したとしても、他の相続人に遺留分がある場合、その遺留分を請求される可能性もあるからです。  また、利害関係がないことだけでなく、遺言内容を守秘してくれる信頼のおける証人や遺言執行者を指名することも大変重要です。これらについても行政書士等の専門家に依頼することも極めて有効です。ぜひご検討ください。

大藏浩幸 税理士
  • 大藏浩幸税理士事務所
  • 大藏浩幸税理士

相続人間でもめているような関係の場合公正証書遺言は断然効果的です。 遺言執行者を指定しその人が各相続人の同意なくても相続登記ができます 相続申告についても申告可能です!是非とも相続税がかからなくても公正証書遺言はお薦めです!ご検討ください!

荻原正樹 司法書士
  • 司法書士おぎわら相続登記事務所秋田
  • 荻原正樹司法書士

遺言と聞くと、多くの方は自分で手書きした遺言書を思い浮かべると思います。これを自筆証書遺言といいます。自筆証書遺言は気軽に作成できる利点がありますが、後々効力が争われることがあること、また、遺言者がお亡くなりになった後に裁判所で検認という手続きをしなければいけないことなど、リスク・負担も小さくありません。公正証書遺言の場合、このようなリスク・負担を軽減することができます。公正証書遺言の作成をご検討の方は司法書士おぎわら相続登記事務所秋田までご相談ください。

小川逸朗 行政書士
  • 小川逸朗行政書士事務所
  • 小川逸朗行政書士

遺言というとただ財産分けの内容を書けば良いと思う方が多いのですが、それだけで公正証書遺言を作ると何も内容の無い遺言になってしまいます。私は遺言は付言が大切だと思っています。私の所に依頼いただいた方の遺言は、必ず付言を大切にして作っています。 付言に遺言者の生きてきた歴史を刻むことで、実際に相続が始まっても付言により遺言者の言いたいことが書かれていることによって相続の時にトラブルになる事が格段に少なくなります。 付言は多い時では3ページ以上になる事あります。公正証書遺言を作られる方は付言により自分の言いたいことを相続人の方々に是非伝えて下さい。

古川俊呼 行政書士
  • 行政書士こがわ事務所
  • 古川俊呼行政書士

 本稿で、簡潔明瞭に「公正証書遺言」をご解説下さった原正史先生には、誠に、敬意を表します。  一つだけ異見を申し上げますと、原先生が「公正証書遺言が必要となるケース」で解説なさっている「ケース」は、私の考えでは、「必ず、必要となるケース」です(日本語としては、おかしいですけれど)。  実は、本日、遺言公正証書作成の証人として、公証役場でお手伝いをして参りましたが、全て終わった後に、依頼者のお方に、「貴方様の場合は、特別に思うところがあって、遺言書作成をお考えになったようですが、実は、完全に無一物のお方でなければ、健康に心配が無く、立派に成人しているお子さんが『1人だけ』いるような、稀な場合を除いて、ほとんどの皆さんに、遺言書の作成が望ましいのですよ。」と言うような話をさせていただきました。  そうすると、「国民の八、九割が?」と言いう事となりますが、私の考えでは、「そうです。」と答える事となります。  昔から、「ウチなんか、遺言書なんて関係ないよ。」とおっしゃるお方が、ほとんどです。 士業の人間に、「相談する必要なんか無い。」とおっしゃる方が、大方を占めます。  その方ごとの家族事情等によって、「必要」の内容が、悉く、違いますので、ここに詳述する訳には参りません。 でも、ある程度の時間を掛けてお話をすると、「あぁ、そうか、やっぱり、ウチでも必要なのか。」と言うこととなる間違いありません。  惧らく、本当は、原先生も、ここに私がくどくどと申した事をおっしゃりたかったのではないかと愚考致します。  たまたまですが、私の今年の事務室カレンダーは、皆様ご存じの「金子みすゞ」で、1月は、「こだまでしょうか」です。  終わりの字句は、「いいえ、誰でも。」です。  この字句を引用するのは、メッセージが違うので、金子みすゞには、大変に申し訳ないのですが、遺言書作成が望ましい/必要なのは、ほとんどの皆さんのご認識/日々の生活の中での思いとは異なり、「いいえ、誰でも。」なのです。

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