軽んじることなかれ、違法時間外労働が会社を滅ぼす!

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事業内容にどれほど社会性があったとしても、違法時間外労働の問題が有るとされた場合、世間には「ブラック企業」という烙印が押されます。これは事業経営において著しい損失です。ただ、経営者がすべての従業員の残業時間を把握するのはまず不可能。そこで、どのようなことに気をつけるとよいのでしょうか。

違法時間外労働はなぜいけないの?

違法時間外労働はなぜいけないのでしょうか。まず、法律との兼ね合いについて見ていきましょう。

まず、時間外労働は「労働基準法」という法律と深く関わっています。同法では「法定労働時間」という労働時間が定められています。法定労働時間は1週間で40時間(特例の事業所では44時間)、1日8時間です。各企業は、この法定労働時間を超えない範囲で企業ごとの「所定労働時間」を定めています。所定労働時間ではなく、法定労働時間を超えた時間外労働(残業)については、25%割増の残業代の支給が義務付けられています。法定労働時間まで到達しない所定労働時間については、0%割増の賃金が支払われます。また、午後10時以降は深夜労働として25%割増、休日労働は35%割増が義務付けられています。

経営者の方には上記の知識があり、「残業代を支払えばいくら時間外労働させてもいいはずだ」と考えている方がいますが、それは間違いです。雇用者と労働者のあいだで締結された労使協定(サブロク協定)がある場合、その協定の範囲内での残業であれば問題はありません。しかし、協定内容を超えて残業をさせるのは違法であり、また時間外労働の限度に関する基準を超える残業(1週間に15時間、1ヵ月に45時間など)の場合も要注意です。

つまり、違法時間外労働には時間外労働を指示しているのに法的に十分な時間外手当を支払っていないケースと、手当を支払うものの、そもそも労働時間が法定上限を超過しているケースとの2種類があるのです。

経営者が残業時間を管理することは不可能

とはいっても、経営者自身がすべての残業時間を管理することは不可能。そのときに代替案として取ることのできる方法を考えます。

時間外労働は、法律違反だけが問題ではありません。従業員の健康に関する問題や、従業員との家族と会社とのあいだで構築すべき信頼感など、様々な問題があります。かつ、10人を超える会社では、なかなか社長が従業員ひとりひとりの時間外労働時間まで目を配ることは不可能です。そのとき、代替案としてどのような方法が考えられるのでしょうか。

社長はじめ経営者が管理できなくなった事業規模になった場合に取り組むことは、「人事総務部の拡充」です。これをするかしないかで、時間外労働など福利厚生への充実度は大きく異なります。いまは「キャリアが積めるならブラック企業でも構わない」という時代ではありません。会社のなかでも優先事項の高い経営課題として、福利厚生の整備に力を注いでいくことが不可欠です。

一昔前は「タイムカード」で管理していた時間外労働ですが、現在はスマートフォンとの連動による出退勤の管理など、画期的なサービスも多く生まれています。想定しているより手間がかからない時代ともなっていますので、最新のサービスを確認してみましょう。

違法労働時間外労働に対する世間の眼

一昔前の経営者は「残業せずに帰るなど仕事ができない人間だ」と言ってしまいがちですが、この一言に看過できない大きなリスクが潜んでいます。法律を守ることのできないコンプライアンスの欠如、「時間外労働に無頓着」という社会の評価、社会の問題に対する無頓着感など、様々なネガティブの要素が潜んでいます。ご自身の若いときにどれだけ理不尽な思いをしてきたか、勤めていた会社の労働環境が悪かったかというのは、残念ですが1mmも関係ありません。自社の福利厚生環境のみならず、事業活動そのものにも多大な悪影響をもたらしますので、注意するようにしましょう。

また、自社では役員・管理職としてポジショニングしていても、客観的に見て認められるのか、という問題があります。いわゆる「名ばかり管理職」の問題です。労働時間との問題も大きく関わってきますので、自社の状況を把握するようにしましょう。

時代にあった会社をつくる

時間外労働管理に代表される考え方。それは、「時代にあった会社をつくる」ということです。経営者のなかには自身のキャリアアップにおいて整備されていなかった労働の問題、福利厚生の問題を「自分だって若い頃は深夜遅くまで働いた」と武勇伝化してしまう方がまだまだ多いといえます。ただ、従業員や社会が求めているのは武勇伝ではなく、その方が指揮する会社が「社会にあった会社を作っている」のか否か。対応できていない会社は、会社の評判や事業内容にも多大な影響をおよぼしますので、迅速に整備を進めることが大切です。

軽んじることなかれ、時間外労働の問題

時間外労働を管理する法律である労働基準法の観点から、また社会の健康管理の観点から時間外労働の問題を分析しました。福利厚生にとどまらず、会社の事業そのものや社会的評価を左右しかねない問題、経営者も自分の仕事のひとつとして、向き合っていくようにしましょう。

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太田広江 社会保険労務士
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  • 太田広江社会保険労務士

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原論 社会保険労務士
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  • 原論社会保険労務士

●労働時間管理のガイドライン 記事には不足している部分ですが、労働時間の適正管理に関しては、一昨年の電通事件での国会審議を受け、厚生労働省は「過労死ゼロを目指す緊急対策」により、新たなガイドラインを示して、それに基づく適正管理の指導を行うとしました。 結果、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が出されたわけです。 これまで、ガイドラインではなく「指針」というほとんど変わらないような内容のもので労働基準監督署の指導が行われてきたのですが、今回の相違点は、 ★(使用者は)賃金台帳にこれらの事項(労働時間数等)を記入していない場合や、故意に賃金台帳に虚偽の労働時間数を記入した場合は、(労働基準)法第120条に基づき、30万円以下の罰金に処せられること という記載がある点です。 これまでは、この問題があった場合、是正勧告により改善を求めるということだったのですが、このガイドラインが出たことにより、簡単に言うと、時間の管理を行わなかったり虚偽の時間数で管理を行えば、すぐに処罰するよという厚生労働省の決意ともいえる内容です。 現に、労働時間の虚偽記載などで送検される企業が増えています。 労働時間の管理を進めないと、現状を把握できず、結果的に労働時間の削減にも取り組めません。 ●過重労働対策は経営の根幹 長時間労働が削減できない会社は、今後送検対象になったり、厚生労働省による企業名公表により、存続不能な状況に追い込まれる恐れもあります。 要は、業務の把握(棚卸)を行い、業務の配分や進行管理を行えない会社は淘汰されてしまうということです。 今後、時間外労働は無制限ではなく、上限規制が始まります。 その前に、会社の体質を変えてみませんか。 労基署は見ています。 http://www.nikkeibook.com/book_detail/26335/

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