個人事業主が従業員を雇用した時の税務上や労務上の注意点とは?

経理・決算支援

個人事業であったとしても、事業が忙しくなると従業員を雇用しなければなりません。事業拡大をする際には、税務面での作業も増えることに気をつける必要があります。従業員の雇用時に気をつけなければならないポイントについてご紹介します。

給与支払事務所等の開設届出書の提出

まず、初めて従業員を雇用して、雇用主として給与を支払う立場になると、所轄の税務署に対して、「給与支払事務所等の開設届出書」を提出しなければなりません。こちらの届出を行っていないと、従業員の所得税を会社が代わりに納付することができないため、必ず提出するようにしましょう。所轄の税務署へ「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を取りに行ってもかまいませんが、インターネット上の国税庁のホームページからでも取得をすることができます。

この届出は、従業員を採用してから1ヶ月以内に届出を行わなければなりません。従業員を雇用したならば、早急に手続きをするようにしましょう。なお、届出は税務署に持ち込むほか、郵送での届出も受けてもらうことができます。

労働基準監督署に提出しなければならないこと

また、所轄の税務署へ必要な書類を届け出ると同時に、従業員のための労災保険や雇用保険などの労働保険の手続きが必要になります。これらは、事業主ではなく従業員を守るための保険であるため、たとえ従業員が1人であっても手続きをしなければなりません。

最初に、従業員を雇用した日から10日以内に「保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署へ提出しなければなりません。また、50日以内に「概算保険料申告書」を提出して、概算の保険料を納付します。

さらに、雇用保険の適用事業所であること申告する「雇用保険適用事業所設置届」、「雇用保険被保険者資格取得届」を所轄の公共職業安定所(ハローワーク)へ提出しなければなりません。それぞれ事業所を設置した10日以内、従業員を雇用した翌月の10日までに届出をしなければなりませんので、忘れないようにしましょう。

従業員の源泉徴収税額の管理

個人事業主は、従業員から所得税を源泉徴収して、管理をしなければなりません。従業員の給与に関する源泉所得税は、税額票を使って算出して徴収します。税額票には、「月額表」、「日額表」、そして「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に分類され、一般的な月給従業員であれば、通常は月額表を用いて税額計算をします。源泉徴収する従業員の所得税は、社会保険料を控除した後の給与金額から算出されます。なお、扶養控除のある甲欄と扶養控除のない乙欄にも分類されます。

扶養控除は、「給与所得者の扶養控除等申告書」によって確認することができます。従業員を雇用した際には、最初の給与支払い日までに必ず、この申告書を提出してもらうようにしましょう。この申告書に記載された扶養親族の数によって所得税や復興特別所得税を源泉徴収していきます。

徴収した源泉所得税は。源泉徴収簿などを利用して管理していきましょう。

源泉所得税の収めるタイミング

源泉所得税は、原則として所得税を徴収した翌月の10日までに、「給与所得、退職所得等の所得税徴収高計算書」(いわゆる納付書)」を記入して所轄の税務署や金融機関で納付をします。

納付書は申告書としての役割を持っており、従業員の数や給与総額、そして納付する源泉所得税額を記載して提出します。

ただし、源泉所得税の納付には特例が設けられています。雇用している従業員が10人未満である場合は、「源泉所得税の特例」を受けることができます。この特例を受けていると、毎月納付しなければならない源泉所得税を年2回に減らすことができます。もちろん、年間の納付額に違いがあるわけではありませんが、納付の手間を限りなく減らすことができます。

源泉所得税の納付を忘れた、もしくは遅れてしまった場合、税金の未納付となり、加算税や延滞税の対象になりますので気をつけるようにしましょう。

年末調整の方法とは?

従業員の所得税は、毎年12月に年末調整を行って、年間の所得税額を確定しなければなりません。事前に従業員へ次の書類を渡して、記載してもらうようにしましょう。

・「扶養控除等(異動)申告書」

・「給与者の保険料控除申請書 兼 配偶者特別控除申告書」

また、従業員が住宅ローン控除の対象となる場合は、金融機関から住宅取得に係る残高証明書と「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書を提出してもらってください。

これらの書類を用いて、控除すべき税額を算出して、年間の給与所得と併せて年間の所得税額を計算します。もし、従業員の所得税額が超過している場合は返金、不足している場合は上乗せをして12月の給与を支給します。税務署へは、1月をめどに全体の過不足を計算して、不足税額もしくは超過税額を記入して申告をします。

従業員に必要な税金や保険料はしっかり管理しよう

所得税や労働保険料などは、従業員が一人であっても管理しなければなりません。手続きや納付を忘れてしまうと罰則の対象にもなる可能性があります。手続き忘れのないようにしっかりと管理をしていきましょう。場合によっては、税理士などの専門家に依頼をして適切な管理を任せるのも一つの方法でしょう。

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プロのコメント

大藏浩幸 税理士
  • 大藏浩幸税理士事務所
  • 大藏浩幸税理士

個人事業主の感覚としてパートやアルバイトは扶養控除等申告書を必要ないと考えてる方が非常に多いですよね?給与が発生する場合は必ず扶養控除申告書を記入し源泉徴収税額表甲欄であることを確認しましょう! 乙欄だと税金が発生します!ご注意を! 納期の特例を申請した場合でも申請月の翌々月からの分からの特例ですから申請月から年二回になると思って7月と12月にまとめて 納付した場合に不納付加算税等のペナルティが言ってくることがありますので要注意!

原田雄一朗 社会保険労務士
  • アールズ社会保険労務士事務所
  • 原田雄一朗社会保険労務士

個人事業主で労災保険の申請をしていない方も、まだまだたくさんいらっしゃいます。労災保険申請を怠ると、多額の医療費が発生し、それが原因で会社が傾くときもあります。 また、怪我が起こる可能性が少ない業務でも、通勤災害は完全に回避できません。 計算すると、建設関連業でなければ、補償の内容からみて、非常に安い労災保険料。必ず入っておくことが会社を守るために最も安く実施できる最低限の対策です。

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この記事の監修者

【中小企業から宗教法人、スポーツ選手まで 海外進出のサポートも充実!】 みなさんこんにちは。代表の今野真輔(こんの しんすけ)です。 税理士として開業したきっかけは、税...