個人事業主の妻の年収はいくらが適正か?

節税対策

個人事業主の妻の年収の適正額は、所得税や社会保険料を節約するための扶養の条件や専従者給与控除を受けるための条件も考慮して決定するべきでしょう。それぞれの具体的な条件について、適正な妻の年収額を考えてみましょう。

妻を扶養する場合の所得税について

所得税の扶養要件は、以下の条件を満たす必要があります。

1.配偶者(内縁関係の人は含まない)、親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)である。

2.納税者と生計を一にしている。

3.青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

4.年間の合計所得金額が38万円以下であること

 (給与所得の場合、1年間の給与収入が103万円以下)

配偶者で2~4の要件を満たした場合に、配偶者控除38万円を所得控除として受けることができます。

ただし、平成30年以降は配偶者控除の要件が変更し、年間の合計所得金額が85万円以下(給与所得の場合、1年間の給与収入が150万円以下)に変更となります。また、夫の年収額によって、控除額が決定するので注意が必要です。

妻を扶養する場合の社会保険について

社会保険の扶養要件は、以下の条件を満たす必要があります。

1.配偶者・直系尊属(父母・祖父母など)・子、孫及び弟妹

2.被保険者により主として生計を維持されている。

3.年間収入130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は、年間収入180万円未満)であること。

  ただし、年間収入とは、過去における収入のことではなく、扶養されることになった時点での年間の見込み収入額のことをいいます。

 (給与所得等の収入の場合、月額では108,333円以下。)

社会保険の扶養の条件は、所得税のような1年間の合計所得ではなく、現時点での年収の見込み金額により判断するということです。

白色申告の場合の専従者控除

白色事業専従者控除額は、以下のいずれか低いほうの金額となります。

イ)事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円

ロ)「事業所得等(専従者控除前) ÷ (専従者の数 + 1) 」で計算した金額

例えば、控除前事業所得が170万円の場合、「170万円÷(1+1)=85万円」となり、ロの方が低くなるので、専従者控除額は85万円となります。逆算すると、控除前事業所得が173万円以上であれば、イの86万円が上限の控除額となります。

また、個人の事業を手伝ってくれる妻が、他の会社でパートタイマーとして働いたような場合には、 パートで得た収入と専従者控除額 の合計金額が妻の年間所得となります。

さらに、白色事業専従者控除を受けるためには、以下の2つの条件があります。

1.白色申告者の営む事業に事業専従者がいること

2.確定申告書に控除を受ける旨やその金額など必要な事項を記載すること

1の「事業専従者」とは、下記の3つの条件を満たしている人になります。

・白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。

・その年の12月31日時点で年齢が15歳以上であること。

・その年を通じて6月を超える期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していること。

青色申告の場合の専従者給与控除

青色事業専従者給与の控除を受けるためには「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要です。

「青色事業専従者給与に関する届出書」はその年の3月15日が提出期限になります。

また、新たに事業を始めたときや、新たに青色事業専従者になった人がいるときは、2カ月以内に届け出をします。

青色事業専従者として、専従者給与を控除するには3つの条件があります。

・青色申告者と生計を同一にする親族であること

・当該年度の12月31日に15歳以上であること

・青色申告者の事業に、6カ月を超える期間専従していること

青色事業専従者給与控除の対象者に対しては、配偶者控除や扶養控除が適用できなくなります。

配偶者控除は38万円なので、その金額よりも低い金額を専従者給与として設定するのであれば、配偶者控除を適用したほうがお得です。青色事業専従者も、収入が100万円を超えると住民税、103万円を超えると所得税が課税されます。

よって、収入金額100万円を目安に専従者給与として支払うことで青色申告者の納税分が減り、専従者の税金を抑えることもできます。

個人事業主の妻の適正な年収額は

所得税や社会保険の扶養条件の両方を満たしえるのは現段階では年収100万円程度であり、この金額が妻の年収の最適な金額といえるでしょう。

また、専従者控除を受けるには様々な条件をクリアする必要があります。よって、通常の配偶者控除を受けるべきか、専従者控除を受けるべきかをよく考慮して、年収を決定する必要があります。

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プロのコメント

大藏浩幸 税理士
  • 大藏浩幸税理士事務所
  • 大藏浩幸税理士

この問題はよくありますね?月8万にして年間96万円から給与所得控除の最低額65万円を差し引き住民税の基礎控除以下にするのが妥当じゃないでしょうか?そうすれば所得税も住民税もかかりませんよね!

渡部浩之 税理士
  • 渡部税理士事務所
  • 渡部浩之税理士

現行の法令では、年収が103万円は税金及び扶養の壁・130万円は社会保険料の壁(従業員数501人以上の会社は106万円)があり、壁を越えた場合には税金が発生し、かつ扶養控除が減ったり、社会保険料に加入しなければなりません。 また、注意が必要なのは年収が103万円以下でも「青色専従者給与」を受けている方は、税金の扶養から外れるので注意が必要です!

西濱絢 税理士
  • 西濱絢公認会計士・税理士事務所
  • 西濱絢税理士

個々の置かれている状況・希望により、一概には言えませんが、年収100万円程度であれば、所得税の支払いはありませんので、100万円が一つの目安となるでしょう。 もう少し働きたいと考えられる場合は社会保険上の扶養範囲内である130万円を目安とするとよいと思います。ご主人がサラリーマンの場合は、奥様の収入が130万円(従業員数等により106万)までは、社会保険上の扶養に入れますので、負担はかかりません。しかし、130万円を超えると社会保険料を支払う必要が出てくるため、結果手取収入は減ることになります。 平成30年からは、配偶者控除の枠が広がります。給与収入でいうと150万円以内まで(ご主人の所得制限有)配偶者控除の適用が広がります。 しかし、ここで注意すべきが、上記に書いた130万円の壁です。130万円を超えても所得税法上の配偶者控除は適用されますが、社会保険上の扶養からは外れることになり、保険料を支払うことになります。 従って、サラリーマンの妻の収入は約100万円・130万円・150万円(H30年以降)を意識するとよいでしょう。 一方で、ご主人が個人事業主の場合、社会保険上の扶養の恩恵は受けれませんので、奥様が給与所得者である場合、130万円以上働いて、ご自身の会社の社会保険に入る(厚生年金)方が、様々な手当を受けられることになりますので、130万円を超えて働くことを考える余地があるでしょう。 いずれにしても、最初にも記載しましたが、個々の状況・希望によりベストな年収はかわってくるでしょう。

西田真由美 税理士

税法では「社会通念上公正妥当な」という言葉を使うことが多いです。 社会通念上・・・、あいまいな言葉ですよね(笑) つまり、「常識の範囲内」ということです。 個人事業主の妻の最適な年収額は?? 答えは、「社会通念上おかしくない金額」です。 例えば・・・ 年間売り上げ1億2千万円、所得金額が2400万円の開業医の方がおられたとします。 配偶者の専従者給与が月額100万円で年間1200万円。 売り上げ対比でみると、、、 対売上高比率 10% 対事業所得比率 50% この金額が、多いか?少ないか??適正なのか??? 実際、妻がどれだけ事業やその経営に携わっているのかで決まります。 例えば、妻が経理事務全般を行っている。 例えば、妻が看護師や薬剤師として医療に従事している。 こういった、「事実認定」が「社会通念上公正妥当」である金額を裏付けます。 安易に、この売上高だからこの金額とかこの規模だからとか・・・ そういった観点から専従者給与を算定するのではなく、実働として今一度考えてください。 それと、重要なポイントは、事業主との所得の分散効果による節税です(こちらは、個々の状況となりますので、専門家にご相談ください)。 あらゆる観点から、専従者給与の額を決定し、節税につなげましょう!

岩本進 税理士
  • 岩本進会計事務所
  • 岩本進税理士

よくある質問ですね。 私は奥様の給与収入を年間103万円以内で留めておくのは検討の余地がありますとアドバイスします。 ご主人様の給与収入が高額ですと、配偶者控除38万円が減ることによる税負担が増える可能性が高いですが、低所得ですと、世帯収入から考えて奥様がもう少し働いた方が有利な場合(配偶者特別控除3‐38万円控除適用など)もあります。試算が必要です。 ただし、社会保険の扶養の範囲内である給与収入年間130万円以内の留めるべきとは思います。 ここからが朗報?です。 平成30年からは、配偶者控除の枠が給与収入でいうと年間150万円以内(不動産所得などの所得金額で年間85万円以下)までに拡大します(ご主人様の所得制限がありますが)。安心して毎月10万円くらいは稼げますよ。 (あらたに奥様の税金が発生してしまう可能性はあります。) 是非一度ご検討ください。

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この記事の監修者

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